表情は固いが、優しそうな人だ。
若葉にそういった印象を持った朧は、暑くなってきた日差しに盥に水を張って足を浸けて涼んでいた。
朔と若葉と銀ーー
皆が揃って話をしていた様子を遠目から見たが、親密な仲だというのがよく分かる。
銀と若葉の話を聞いたこともないので、今後聞いてみようと思い、楽しみが増えて水をぱしゃりと蹴っていると、突然目の前の草を分け入って知らない男が現れた。
この屋敷は丸ごと朔の結界内ーー敵ではないのだろうが、身構えることができずにきょとんとしていると、男がぽつりと漏らした。
「・・・迷った・・・・・・」
・・・やけに背の高い男だ。
髪の色が銀のように真っ白だったので、もしかしてこの男が、と見つめていると、男が濃紺の着物についた葉を払いながら近付いてきた。
「お傍によろしいですか」
「あ、はい」
近付いてくると、さらに大きい。
体躯は細いが、見とれるほど美しい白狐にこの男がことさら強い妖なのだと分かる。
「庭が広すぎて迷いました」
「広いですけど・・・迷うほどでは」
「少々方向感覚がおかしくてよく迷ってしまうんです」
「つまり迷子なんですね」
ーー話してみると気さくで、ほっとしてまた足で水を揺らしていると、立ったままの男の視線が落ちて足に注がれた。
「焔と申します。隣に座っても?」
「どうぞ」
空気が揺れて焔が隣に座り、横顔をじっと見る。
近くで見ても美しい男だと思ったが、朧の心に長年棲みついている男にはまだ劣っていた。
若葉にそういった印象を持った朧は、暑くなってきた日差しに盥に水を張って足を浸けて涼んでいた。
朔と若葉と銀ーー
皆が揃って話をしていた様子を遠目から見たが、親密な仲だというのがよく分かる。
銀と若葉の話を聞いたこともないので、今後聞いてみようと思い、楽しみが増えて水をぱしゃりと蹴っていると、突然目の前の草を分け入って知らない男が現れた。
この屋敷は丸ごと朔の結界内ーー敵ではないのだろうが、身構えることができずにきょとんとしていると、男がぽつりと漏らした。
「・・・迷った・・・・・・」
・・・やけに背の高い男だ。
髪の色が銀のように真っ白だったので、もしかしてこの男が、と見つめていると、男が濃紺の着物についた葉を払いながら近付いてきた。
「お傍によろしいですか」
「あ、はい」
近付いてくると、さらに大きい。
体躯は細いが、見とれるほど美しい白狐にこの男がことさら強い妖なのだと分かる。
「庭が広すぎて迷いました」
「広いですけど・・・迷うほどでは」
「少々方向感覚がおかしくてよく迷ってしまうんです」
「つまり迷子なんですね」
ーー話してみると気さくで、ほっとしてまた足で水を揺らしていると、立ったままの男の視線が落ちて足に注がれた。
「焔と申します。隣に座っても?」
「どうぞ」
空気が揺れて焔が隣に座り、横顔をじっと見る。
近くで見ても美しい男だと思ったが、朧の心に長年棲みついている男にはまだ劣っていた。

