ほぼ無表情の若葉に手を引かれて、手慣れた足取りで人気の無い角部屋に移った。
足取りに迷いがなかったのでどうしたものかと戸惑っている朧は、若葉をつぶさに観察していた。
「懐かしいな。何も変わってない」
「あの…」
「私ね、橋に捨てられてて。ぎんちゃんに拾われてなかったら死んでたと思う」
「ぎん…さん?」
「私と朔ちゃんは銀のことをぎんちゃんって呼ぶの。この屋敷で育って、一度死んで…生まれ変わった姿がこれ」
大体把握できると、朔との仲も気になる。
普段明るい部類だがどこか秘密を持っている風の兄と若葉がどうやって暮らしていたのか聞いてみたかったが、はしたないと思われるのがいやで黙っていると、若葉自らが切り出した。
「朔ちゃんとは幼馴染み。兄妹みたいに育って守ってくれた。朔ちゃんは優しいよね」
ようやく少し笑ってみせた若葉にほっとした朧は、正座して深々と頭を下げた。
「朧と申します。仲良くして頂けると…」
「こちらこそよろしく。突然押しかけてごめんね。朔ちゃんにどうしてもって呼ばれて…」
朔の真意を知らない朧は首を傾げて推し量ってみたが、答えが出ない。
ただ雪男とぎくしゃくしていたのでそれが解消されて安心はしたがーー
「後で息子にも会ってあげてね。放浪ばかりしててひとつの場所に落ち着かない子だけど」
「はい」
若葉のふわふわの尻尾や耳が気になりつつ、山姫と息吹以外の女性とあまり話をしたことのない朧はまた深々と頭を下げて動き出す歯車に運命を委ねる。
足取りに迷いがなかったのでどうしたものかと戸惑っている朧は、若葉をつぶさに観察していた。
「懐かしいな。何も変わってない」
「あの…」
「私ね、橋に捨てられてて。ぎんちゃんに拾われてなかったら死んでたと思う」
「ぎん…さん?」
「私と朔ちゃんは銀のことをぎんちゃんって呼ぶの。この屋敷で育って、一度死んで…生まれ変わった姿がこれ」
大体把握できると、朔との仲も気になる。
普段明るい部類だがどこか秘密を持っている風の兄と若葉がどうやって暮らしていたのか聞いてみたかったが、はしたないと思われるのがいやで黙っていると、若葉自らが切り出した。
「朔ちゃんとは幼馴染み。兄妹みたいに育って守ってくれた。朔ちゃんは優しいよね」
ようやく少し笑ってみせた若葉にほっとした朧は、正座して深々と頭を下げた。
「朧と申します。仲良くして頂けると…」
「こちらこそよろしく。突然押しかけてごめんね。朔ちゃんにどうしてもって呼ばれて…」
朔の真意を知らない朧は首を傾げて推し量ってみたが、答えが出ない。
ただ雪男とぎくしゃくしていたのでそれが解消されて安心はしたがーー
「後で息子にも会ってあげてね。放浪ばかりしててひとつの場所に落ち着かない子だけど」
「はい」
若葉のふわふわの尻尾や耳が気になりつつ、山姫と息吹以外の女性とあまり話をしたことのない朧はまた深々と頭を下げて動き出す歯車に運命を委ねる。

