家族以外の者にやわらかで素直な笑顔を見せた朔に対して朧は口を開けて驚き、雪男の袖を引っ張った。
「お師匠様…あの…どなたですか…?」
「え?ああそうか、お前は知らないよな。銀は晴明の親戚。で、隣が銀の嫁さんで若葉。元は人だったんだ」
「えっ?!」
ーーだがあまり表情なく佇んでいる若葉という女は…銀と同じく白狐に見える。
動揺しておたついている朧の細い肩をやんわり押して若葉の前に押し出した雪男は、久々の再会に親しげに声をかける。
「よう、恙無く暮らしていたか?」
「うんおかげさまで。娘はお嫁に行ったんだよ」
「娘は朔に嫁がせたかったんだがな」
「ははっ、それはもったいないことをしたな、確か相当可愛かったような…」
本気で惜しがっているような朔を朧がまじまじと見つめ、朧より背の低い若葉が見上げながら手を握る。
「朧ちゃんって言うんだよね」
「はい」
「息吹さんと先代には本当にお世話になったの。しばらく滞在するからお話しない?」
「はいっ」
ぱっと顔を輝かせる朧の手を引いて部屋を移りながら若葉が銀と朔に目配せをして去る。
「さて…どうだ?」
「ふむ、とんだ美女だな。うちの馬鹿息子にはもったいない気がするが」
「…おい、何の話をしてる?」
「なんだ知らないのか?俺たちは朔に呼ばれて来たんだ。朧を嫁にもらう気はないか、とな」
雪男の眉が上がる。
怒気が滲む様子にも朔は気にせず、庭の奥から視線を送ってくる者に声をかけた。
「どうだ、焔(ほむら)」
「…」
返事はない。
だが、歩み寄ってくる男に雪男は拳を握る。
「婿候補…お前が?」
幼い頃の彼はどちらかと言えば可愛らしかったが…
今は全く違った男になっていた。
「お師匠様…あの…どなたですか…?」
「え?ああそうか、お前は知らないよな。銀は晴明の親戚。で、隣が銀の嫁さんで若葉。元は人だったんだ」
「えっ?!」
ーーだがあまり表情なく佇んでいる若葉という女は…銀と同じく白狐に見える。
動揺しておたついている朧の細い肩をやんわり押して若葉の前に押し出した雪男は、久々の再会に親しげに声をかける。
「よう、恙無く暮らしていたか?」
「うんおかげさまで。娘はお嫁に行ったんだよ」
「娘は朔に嫁がせたかったんだがな」
「ははっ、それはもったいないことをしたな、確か相当可愛かったような…」
本気で惜しがっているような朔を朧がまじまじと見つめ、朧より背の低い若葉が見上げながら手を握る。
「朧ちゃんって言うんだよね」
「はい」
「息吹さんと先代には本当にお世話になったの。しばらく滞在するからお話しない?」
「はいっ」
ぱっと顔を輝かせる朧の手を引いて部屋を移りながら若葉が銀と朔に目配せをして去る。
「さて…どうだ?」
「ふむ、とんだ美女だな。うちの馬鹿息子にはもったいない気がするが」
「…おい、何の話をしてる?」
「なんだ知らないのか?俺たちは朔に呼ばれて来たんだ。朧を嫁にもらう気はないか、とな」
雪男の眉が上がる。
怒気が滲む様子にも朔は気にせず、庭の奥から視線を送ってくる者に声をかけた。
「どうだ、焔(ほむら)」
「…」
返事はない。
だが、歩み寄ってくる男に雪男は拳を握る。
「婿候補…お前が?」
幼い頃の彼はどちらかと言えば可愛らしかったが…
今は全く違った男になっていた。

