朔はそれ以上何も教えてはくれず、屋敷に戻って一番涼しい部屋で寝転んだ雪男はそれを悶々と考えていた。
「・・・抱くとか・・・真顔で言いやがって・・・」
思い出しただけでも顔が熱くなる。
息吹を想っていた間、十六夜が怖くて手のひとつも出せなかったわけだが・・・欲に狩られて無理強いのようなことをしたこともない。
当時は十六夜よりも幸せにしてやりたいと思っていたことは確かだったがーー朧の唇を塞いでしまいたいと強く思ったことは全くの予想外。
「抱く・・・か。まあそりゃ・・・抱きたいよな・・・」
「何をですか?」
不意に声をかけられて慌てて起き上がると、冷たい茶を手に少し不機嫌そうな表情の朧がずいっと茶を差し出した。
「最近暑くなってきたから水分沢山摂って下さい。・・・で、何を抱きたいんですか?」
やけに追及してくる朧によもや“お前を抱きたい”と言えるわけもなく、それでも鎌を掛ける位は、と思い直した雪男は茶を口に運びながら何の気なしを装って目を伏せた。
「俺って雪男だから抱きしめると相手凍っちゃうし、ここ最近ぎゅっとしてないなと思ってさ」
「・・・母様をぎゅっとしたことはあるんですか?」
「ま、まあ何度かは。・・・先代には内緒だからな。・・・なんだよ、やけに興味津々だな」
久々の質問責めに朧が小さかった頃のことを思い出してふっと笑うと、朧がぷいっと顔を逸らす。
「少しだけならいいですよ」
「は?何が?」
「・・・少しだけなら・・・ぎゅってしてもいいですよ」
「・・・なんだよ、冗談ならやめてくれよな。ったく・・・大人の男をからかうんじゃな・・・」
「私だってぎゅってされたことくらいあります。お気になさらず」
誰に、と言いかけてやめた。
朧に煽られたと分かっていつつも、腕は勝手に朧に伸び、背中に回して引き寄せると、強く抱きしめた。
「・・・抱くとか・・・真顔で言いやがって・・・」
思い出しただけでも顔が熱くなる。
息吹を想っていた間、十六夜が怖くて手のひとつも出せなかったわけだが・・・欲に狩られて無理強いのようなことをしたこともない。
当時は十六夜よりも幸せにしてやりたいと思っていたことは確かだったがーー朧の唇を塞いでしまいたいと強く思ったことは全くの予想外。
「抱く・・・か。まあそりゃ・・・抱きたいよな・・・」
「何をですか?」
不意に声をかけられて慌てて起き上がると、冷たい茶を手に少し不機嫌そうな表情の朧がずいっと茶を差し出した。
「最近暑くなってきたから水分沢山摂って下さい。・・・で、何を抱きたいんですか?」
やけに追及してくる朧によもや“お前を抱きたい”と言えるわけもなく、それでも鎌を掛ける位は、と思い直した雪男は茶を口に運びながら何の気なしを装って目を伏せた。
「俺って雪男だから抱きしめると相手凍っちゃうし、ここ最近ぎゅっとしてないなと思ってさ」
「・・・母様をぎゅっとしたことはあるんですか?」
「ま、まあ何度かは。・・・先代には内緒だからな。・・・なんだよ、やけに興味津々だな」
久々の質問責めに朧が小さかった頃のことを思い出してふっと笑うと、朧がぷいっと顔を逸らす。
「少しだけならいいですよ」
「は?何が?」
「・・・少しだけなら・・・ぎゅってしてもいいですよ」
「・・・なんだよ、冗談ならやめてくれよな。ったく・・・大人の男をからかうんじゃな・・・」
「私だってぎゅってされたことくらいあります。お気になさらず」
誰に、と言いかけてやめた。
朧に煽られたと分かっていつつも、腕は勝手に朧に伸び、背中に回して引き寄せると、強く抱きしめた。

