朧は変わった。
晴明の英才教育の下、ひとつひとつの所作は洗練されて女らしくなった。
鏡台の前に座って櫛で髪をとかしている様はまるで絵のようで、庭で鳴く鈴虫の音がいっそうその姿を艶やかに見せる。
「お前は休んでていいぞ。屋敷は俺が守るからさ」
「留守番位私にもできます」
「今日山姫は白雷の熱が下がらなくて部屋に籠もってるけど俺ひとりでだいじょ・・・」
「暑くなってきましたね。お茶淹れてきます」
わかりやすい無視をされて囲炉裏の前でばたりと倒れ込んで天井を見つめた。
息吹はよく台所で料理を作っていたなと思い返していると、熱い茶と冷たい茶の入った湯飲みの乗った盆を持った朧が顔を覗き込んでいた。
朧の長い髪がさらりと垂れて頬にかかり、飛び起きた雪男にふっと朧が息を吐いて笑い、ちょこんと隣に座った。
「氷がなかったので我慢して下さい」
「あ、うん。お前のこの季節にゃ熱すぎじゃないか?ちょっと貸してみろ」
朧が両手で包み込むように持っていた湯飲みに顔を近付けて息を吹きかける。
冷たい雪男の吐息は熱い茶を一瞬にして凍らせてしまい、加減を間違えた雪男が絶句すると、朧が大輪の花が開くように笑った。
「ふふっ、凍っちゃった。お師匠様の馬鹿」
「ご、ごめん」
ーーどぎまぎする。
自分の人生のひとかけらも生きていない朧の笑顔に目が離せない雪男は、両手で頬を叩いて気合いを入れると、とある決意を固めた。
晴明の英才教育の下、ひとつひとつの所作は洗練されて女らしくなった。
鏡台の前に座って櫛で髪をとかしている様はまるで絵のようで、庭で鳴く鈴虫の音がいっそうその姿を艶やかに見せる。
「お前は休んでていいぞ。屋敷は俺が守るからさ」
「留守番位私にもできます」
「今日山姫は白雷の熱が下がらなくて部屋に籠もってるけど俺ひとりでだいじょ・・・」
「暑くなってきましたね。お茶淹れてきます」
わかりやすい無視をされて囲炉裏の前でばたりと倒れ込んで天井を見つめた。
息吹はよく台所で料理を作っていたなと思い返していると、熱い茶と冷たい茶の入った湯飲みの乗った盆を持った朧が顔を覗き込んでいた。
朧の長い髪がさらりと垂れて頬にかかり、飛び起きた雪男にふっと朧が息を吐いて笑い、ちょこんと隣に座った。
「氷がなかったので我慢して下さい」
「あ、うん。お前のこの季節にゃ熱すぎじゃないか?ちょっと貸してみろ」
朧が両手で包み込むように持っていた湯飲みに顔を近付けて息を吹きかける。
冷たい雪男の吐息は熱い茶を一瞬にして凍らせてしまい、加減を間違えた雪男が絶句すると、朧が大輪の花が開くように笑った。
「ふふっ、凍っちゃった。お師匠様の馬鹿」
「ご、ごめん」
ーーどぎまぎする。
自分の人生のひとかけらも生きていない朧の笑顔に目が離せない雪男は、両手で頬を叩いて気合いを入れると、とある決意を固めた。

