主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※

あらゆることを教え込み、またそれを瞬く間に習得した朧に対して晴明は若干の感銘を受けながら微笑んだ。


「息吹は筋が良かったが人であるために妖力がなくてね。その点そなたは両方満点と見える」


「合格ですか?」


「ああ問題ないよ。もうここに通い詰める必要もないだろう」


「でもお祖父様、沢山遊びに来てもいいですか?」


「もちろん」


朔が生まれて結構な時が流れて恵まれた末娘は蝶よ花よと育てられたが決して阿呆ではなく、むしろ両親の良い部分を兼ね備えて生まれた。

恐らく雪男に惚れなければ自らの力を高めることもなく誰かに嫁いでそれで終わったはずだ。


「朔が次代の主さまにしてもいいと言う位だからねえ。見込まれたものだ」


「買い被りすぎです。お祖父様、今から行きますか?それとも明日にする?」


「明日にしようか。そなたもしっかりめかし込んで行くといい。何せ相手は途方も無い時を一途に想い続けて居る堅物なのだから」


ーー晴明の審美眼は切れ味が鋭く、そこらの者には手出しできぬほどの雰囲気と美しさを備えた朧に見向きもしない男が居るとは到底考えにくい。

考えにくいがそれを第三者の観点から見ることのできる立場としては見逃すわけにはいかない。


「ふふふ」


「あ、悪い顔してる」


もちろんだとも。

あの真白き者が朱に変わる瞬間、見せてもらおうではないか。