毎日朝方、幽玄町から平安町へ牛車が渡る。
町の者たちはその牛車が誰のものか知っているが、誰が乗っているから知らない。
だが晴明邸に泊まった牛車から降りた者が女だあり、それはもう素晴らしく美しかったので、都ではたちまち噂となった。
「最近不審者が多くて困るよ」
「不審者?ここに?」
「誰を見ようとしているんだろうねえ」
目を落としていた巻物から顔を上げたのは朧だ。
晴明邸へ通うようになって四年ーー幼さはすっかり抜けて、背も高くなり、顔立ちは幼い頃は息吹に似ていたが、今となっては十六夜似と言っていい。
血の半分は鬼のため成長が早く、とても細いが出るところはここぞとばかりに出て何とも言えない妖艶さを纏っていた。
「そういえば兄様に久しぶりに会えるんです。楽しみ」
「朔か。あの子も忙しい子だからね、時々顔を見せに来ていたが朔も楽しみだと言っていたよ」
「…元気かな」
それが誰を指しているか晴明は知っていたが、素知らぬ顔で扇で膝を叩いて思案顔。
「私も久々に息子に会いに行こうかねえ」
晴明の息子は妖の力が強く、人の世界では育てられないと判断されてから山姫の居る幽玄町に住んでいた。
「そろそろいいのかな」
「そろそろいいと思うよ」
きっと驚くだろう。
町の者たちはその牛車が誰のものか知っているが、誰が乗っているから知らない。
だが晴明邸に泊まった牛車から降りた者が女だあり、それはもう素晴らしく美しかったので、都ではたちまち噂となった。
「最近不審者が多くて困るよ」
「不審者?ここに?」
「誰を見ようとしているんだろうねえ」
目を落としていた巻物から顔を上げたのは朧だ。
晴明邸へ通うようになって四年ーー幼さはすっかり抜けて、背も高くなり、顔立ちは幼い頃は息吹に似ていたが、今となっては十六夜似と言っていい。
血の半分は鬼のため成長が早く、とても細いが出るところはここぞとばかりに出て何とも言えない妖艶さを纏っていた。
「そういえば兄様に久しぶりに会えるんです。楽しみ」
「朔か。あの子も忙しい子だからね、時々顔を見せに来ていたが朔も楽しみだと言っていたよ」
「…元気かな」
それが誰を指しているか晴明は知っていたが、素知らぬ顔で扇で膝を叩いて思案顔。
「私も久々に息子に会いに行こうかねえ」
晴明の息子は妖の力が強く、人の世界では育てられないと判断されてから山姫の居る幽玄町に住んでいた。
「そろそろいいのかな」
「そろそろいいと思うよ」
きっと驚くだろう。

