主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※

それからと言うものの、兄妹はよくふたりで話し合った。

元々仲はかなり良かったのにさらに仲は深まり、百鬼たちをざわつかせた。


「実の兄妹でなければ似合いなんだがなあ」


「せめて腹違いなら夫婦になれたんだが」


「おい好き勝手言うなよ。主さまの耳に入ったら仕置きされるぞ」


そんな百鬼たちの冗談とも言えない話を雪男が咎めると、彼らは肩をすくめてそそくさと退散する。


・・・確かにここ最近朔と朧はひそひそ話が多く、会話に加わろうと近寄ると途端に話題を変えるようにして雪男に疎外感を与えていた。

山姫は臨月に入って相談などできる状況でもなく、元々百鬼たちともそんなに会話は交わさない。

実力社会で主さまの傍を守る側近という立場を弁えて常に警戒は怠っていない。


「お前は一体何の隠し事をしてるんだよ


朧が寝静まった頃合いを見計らって寝顔を観察しにいった雪男が朧の頬を軽くつねる。

すっかり大人びてしまって扱いに困るようになってきた末娘は今まで世話してきた兄弟たちとは何だか訳が違う気がする。

だが寝顔だけは年相応で雪男を和ませ、満足するとそっと部屋を出て朔の部屋の前に座って朧月夜を見上げた。


「隠し事をされるとつらいもんだな」


あんなに質問責めをされていたことが昨日のように感じられるが、朧もそろそろ年頃。

夫を迎えて家を出て、子を設けて幸せにーー


「なんっかいまいち想像できないんだよな」


何度も首をひねる。

雲間から見え隠れする雪男の脳裏は疑問で埋まって首がおかしくなってしまった。