「ただいまー」
朧が玄関で声を上げると、出迎えたのは今にも腹がはちきれんばかりの山姫だった。
人の腹の中に人がーー今でも信じられないことだが、自分もああだったと思うと駆け寄って身体を支えてやった。
「大丈夫?」
「ありがとうね、大丈夫だよ。ああ足元が見えづらくてつらいねえ」
「もう生まれるんでしょ?」
「そうだよ。生まれるまではあたしの代わりをお願いね」
手を引いて居間の座椅子に座らせていると、庭で箒を手に掃除にかかろうとしていた雪男がじっとこちらを見ていることに気付いた。
「帰ったのか」
「はい。兄様は?」
「居るよ。お帰り」
すらっと障子が開いて朔が顔を出すと、朧が飛びかからんばかりに朔の手に抱きついて目を輝かせた。
「兄様!聞いてもらいたいことがあるの」
「うん。ここで話せる?」
視線を感じる。
朧が口をぱくぱくさせると朔は朧を自室に引き入れて障子を閉めた。
「さあ、実家に帰った理由を聞こうか?」
まだ幼いので話の顛末はたどたどしく、朔はよく相槌を入れて促す。
そして朧の決断に首を傾けた。
「それで雪男が振り向かなかったらどうする?」
「そんなことは考えてないの。私は雪男のお嫁さんになって幸せになります」
・・・強引さは両親譲り。
にこっと笑ってすり寄ってくる朧の頭に顎を乗せた朔は、天井を見つめながら焦りまくる雪男が浮かんで吹き出した。
「兄様は賛成だよ。あれがお前しか考えられなくなるような女になりなさい」
「はいっ」
兄妹、悪巧み。
朧が玄関で声を上げると、出迎えたのは今にも腹がはちきれんばかりの山姫だった。
人の腹の中に人がーー今でも信じられないことだが、自分もああだったと思うと駆け寄って身体を支えてやった。
「大丈夫?」
「ありがとうね、大丈夫だよ。ああ足元が見えづらくてつらいねえ」
「もう生まれるんでしょ?」
「そうだよ。生まれるまではあたしの代わりをお願いね」
手を引いて居間の座椅子に座らせていると、庭で箒を手に掃除にかかろうとしていた雪男がじっとこちらを見ていることに気付いた。
「帰ったのか」
「はい。兄様は?」
「居るよ。お帰り」
すらっと障子が開いて朔が顔を出すと、朧が飛びかからんばかりに朔の手に抱きついて目を輝かせた。
「兄様!聞いてもらいたいことがあるの」
「うん。ここで話せる?」
視線を感じる。
朧が口をぱくぱくさせると朔は朧を自室に引き入れて障子を閉めた。
「さあ、実家に帰った理由を聞こうか?」
まだ幼いので話の顛末はたどたどしく、朔はよく相槌を入れて促す。
そして朧の決断に首を傾けた。
「それで雪男が振り向かなかったらどうする?」
「そんなことは考えてないの。私は雪男のお嫁さんになって幸せになります」
・・・強引さは両親譲り。
にこっと笑ってすり寄ってくる朧の頭に顎を乗せた朔は、天井を見つめながら焦りまくる雪男が浮かんで吹き出した。
「兄様は賛成だよ。あれがお前しか考えられなくなるような女になりなさい」
「はいっ」
兄妹、悪巧み。

