主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※

「朧ちゃん、遊びじゃないの。兄様とここをお守りする大切な番なんだよ」


「わかってます母様。兄様は私が守ったげる!」


ーー確かに朧は素質がある。

先代の力を十二分に継いでいるのは朔だが、その次は朧かもしれない。

ただ鍛錬をしていないので目覚めていない力も多いが・・・


「もうっ」


「母様、俺が決めてもいいんですか」


「・・・朔ちゃんが主さまなんだから、判断は任せます」


「朧、兄様は厳しいぞ。雪男も山姫ももうお前を子供扱いしない。いいね?」


「うんっ。よろしくお願いします!」


とてつもなく元気な返事をした朧にもう引き止めることを諦めた息吹は、朧の両手を取って最後の切り札を使った。


「今から父様にお会いして、自分で報告しなさい。いいですね?」


「はいっ」


「そうと決まれば行きましょう」


皆が立ち上がると、ちょうど雪男が居間に入ってきて晴明と山姫を見て首を傾げた。


「どうした山姫。なんか体調が悪そうだな」


「事情は後で話す。少し出かけてくるから屋敷を頼んだぞ」



「?はいよ」


「お前は父様に怒られるかもしれないな」


「はっ?やだっつーの、なんでだよ」


「行ってくる」


朔の必殺技な放置行為に息吹が笑い、朔が朧を抱き上げて外に停めていた牛車に乗り込む。

最大の難関は、先代の十六夜だ。

普段は冷徹に近い冷静な男だが・・・


家族に事が及ぶと激しい一面を見せるので、内心朔は冷や冷やしながらどうなるか予想できずにいた。