末の妹だった朧は、兄弟全員に可愛がられて育った。
中でも朔には自分は朔の子だろうか、と思ってしまうほど可愛がられていた。
約束通りに互いの身体を洗って広い湯船に浸かり、朔の膝に乗っていた朧がふと朔の手に目をやる。
手は自分の顔が隠れるほどに大きく、指はとても長くて繊細そうに見える。
肩も広くてごつごつしていて、つい朔の顔をぺたぺた触ると、くすぐったそうに屈託な笑顔で笑った。
「なんだ、どうしたの」
「兄様の手って、とっても大きい。なんで?」
「うーん、沢山の大切なものを守れるように、かな」
「じゃあ雪男も兄様みたいに大きくてごつごつしてるの?」
「さあね、後で見てみれば?」
ふふっと声を立てて笑う朔の笑顔に失神する女も多い中、美しいものに耐性のある朧は朔の肩に顔を乗せて、呟いた。
「雪男ってなんにも教えてくれない。沢山知りたいのに」
「前にも言ったけど、無理強いして聞いちゃ駄目だよ。分かった?」
「はい」
「ほら、身体拭いてあげるから先に上がっておいで」
脱衣所で丁寧に身体を拭いて浴衣を着せてやると。脱兎のごとく走っていく。
改めて湯船に浸かった朔は、幼い頃から当然のように居た雪男が母をずっと想っていることを知っていたが、母が振り向く気がないことも知っている。
「どうなることやら・・・」
「わーっ!何すんだっ、ちょ、脱がすな!やめろー!」
「ふふっ」
朔が笑いをこらえて手で口元を覆う。
妹は容赦なく雪男を追い求めるようだ。
そろそろ何かが変わってもいいかもしれないーー
そう、父を変えた母のように。
中でも朔には自分は朔の子だろうか、と思ってしまうほど可愛がられていた。
約束通りに互いの身体を洗って広い湯船に浸かり、朔の膝に乗っていた朧がふと朔の手に目をやる。
手は自分の顔が隠れるほどに大きく、指はとても長くて繊細そうに見える。
肩も広くてごつごつしていて、つい朔の顔をぺたぺた触ると、くすぐったそうに屈託な笑顔で笑った。
「なんだ、どうしたの」
「兄様の手って、とっても大きい。なんで?」
「うーん、沢山の大切なものを守れるように、かな」
「じゃあ雪男も兄様みたいに大きくてごつごつしてるの?」
「さあね、後で見てみれば?」
ふふっと声を立てて笑う朔の笑顔に失神する女も多い中、美しいものに耐性のある朧は朔の肩に顔を乗せて、呟いた。
「雪男ってなんにも教えてくれない。沢山知りたいのに」
「前にも言ったけど、無理強いして聞いちゃ駄目だよ。分かった?」
「はい」
「ほら、身体拭いてあげるから先に上がっておいで」
脱衣所で丁寧に身体を拭いて浴衣を着せてやると。脱兎のごとく走っていく。
改めて湯船に浸かった朔は、幼い頃から当然のように居た雪男が母をずっと想っていることを知っていたが、母が振り向く気がないことも知っている。
「どうなることやら・・・」
「わーっ!何すんだっ、ちょ、脱がすな!やめろー!」
「ふふっ」
朔が笑いをこらえて手で口元を覆う。
妹は容赦なく雪男を追い求めるようだ。
そろそろ何かが変わってもいいかもしれないーー
そう、父を変えた母のように。

