「まさか妖憑きの姫だったとは…。晴明、説明をせよ」
「私は最初からそう申し上げていたはずですよ。娘には恐ろしい妖が憑いている、と」
帝とふたりきりで叱責を受けた晴明は、悪びれもなく言い放つ。
「お怪我をなさったでしょう。あれしきで驚いてはいけませぬ。あなた様が息吹に手を出そうものなら、その尊きお命…無くなるやも」
「ええい、晴明!どうにかせよ!」
「私も困り果てているのです。私以上の術を持つ者ならば、或いは」
ーーそんな傑物、居るはずもない。
自分でそれをわかりつつ、晴明は内心ほくそ笑みながら、退出を命じられて部屋を出る。
すると、すぐに話しかけてくる者があった。
「どうだ、あの盆暗は」
「道長か。どうにかして幽玄町の主を祓おうと躍起になっているが、それは到底不可能だな」
「晴明。何か忘れてはいないか?俺の演技はどうだ!幽玄町の主にもばれてなかろう!?」
「ああそうだな、だがやりすぎると今度はそなたの命が危うくなる。程々に」
「加減が難しいのだ!早くあの盆暗、諦めてはもらえぬか」
それもなかなか難しい。
主さまが息吹を求め、盆暗ーー帝もなかなか諦めようとしない。
確かに可愛らしくしとやかな娘だし、健やかに育った息吹のことは、誇らしい。
それがーーかたや帝、かたや妖の頂点に立つ男たちを魅了しようとは。
正直、想定外でもあり、想定内でもあったのだが…
「罪作りな子だ。なんとかして守ってやりたい」
「お前なあ…最強の陰陽師と、宮廷を牛耳る俺と、幽玄町の主が居るのだぞ。何を恐れることがある!」
「恐れてなどいないが、多少不安ではあるな。どちらに転んでも、私は激高してしまいそうだ」
「親馬鹿もそこまでくると爽快だな。美しいうちに嫁に出してやるのが親だぞ。嫁ぎ先は俺も探してやるから心配するな」
がはは、とがさつに笑いながら肩を抱いてくる道長と居ると、ほっとしてしまう。
妙なことに巻き込んでしまって責任を感じてはいるが、この男は巻き込まれたことに気付いていないのだろう。
「今宵、酒でもどうだ」
「うむ、寂しいのだな?仕方ない、泊まり込みで遊びに行ってやろうぞ」
そういうわけでもないのだが、説明するのが面倒くさかった晴明は、道長の背中をぽんと叩いて牛車に乗り込んだ。
「私は最初からそう申し上げていたはずですよ。娘には恐ろしい妖が憑いている、と」
帝とふたりきりで叱責を受けた晴明は、悪びれもなく言い放つ。
「お怪我をなさったでしょう。あれしきで驚いてはいけませぬ。あなた様が息吹に手を出そうものなら、その尊きお命…無くなるやも」
「ええい、晴明!どうにかせよ!」
「私も困り果てているのです。私以上の術を持つ者ならば、或いは」
ーーそんな傑物、居るはずもない。
自分でそれをわかりつつ、晴明は内心ほくそ笑みながら、退出を命じられて部屋を出る。
すると、すぐに話しかけてくる者があった。
「どうだ、あの盆暗は」
「道長か。どうにかして幽玄町の主を祓おうと躍起になっているが、それは到底不可能だな」
「晴明。何か忘れてはいないか?俺の演技はどうだ!幽玄町の主にもばれてなかろう!?」
「ああそうだな、だがやりすぎると今度はそなたの命が危うくなる。程々に」
「加減が難しいのだ!早くあの盆暗、諦めてはもらえぬか」
それもなかなか難しい。
主さまが息吹を求め、盆暗ーー帝もなかなか諦めようとしない。
確かに可愛らしくしとやかな娘だし、健やかに育った息吹のことは、誇らしい。
それがーーかたや帝、かたや妖の頂点に立つ男たちを魅了しようとは。
正直、想定外でもあり、想定内でもあったのだが…
「罪作りな子だ。なんとかして守ってやりたい」
「お前なあ…最強の陰陽師と、宮廷を牛耳る俺と、幽玄町の主が居るのだぞ。何を恐れることがある!」
「恐れてなどいないが、多少不安ではあるな。どちらに転んでも、私は激高してしまいそうだ」
「親馬鹿もそこまでくると爽快だな。美しいうちに嫁に出してやるのが親だぞ。嫁ぎ先は俺も探してやるから心配するな」
がはは、とがさつに笑いながら肩を抱いてくる道長と居ると、ほっとしてしまう。
妙なことに巻き込んでしまって責任を感じてはいるが、この男は巻き込まれたことに気付いていないのだろう。
「今宵、酒でもどうだ」
「うむ、寂しいのだな?仕方ない、泊まり込みで遊びに行ってやろうぞ」
そういうわけでもないのだが、説明するのが面倒くさかった晴明は、道長の背中をぽんと叩いて牛車に乗り込んだ。

