ひょんな話の流れから、山姫と雪男も付いてくることになった。
晴明は屋敷に張っていた結界を解き、姿を消した状態の主さまたちを招き入れる。
息吹はその時庭に降りて花に水遣りをしていた。
三人が息を詰めているのを見ていた。
厄介なことに、雪男も息吹に見惚れていたので、舌打ちをしそうになる。
人魚の存在はあれど、妖とは無縁の暮らしを送ってほしいと思っていたのに、これではまるで見当違いだ。
「息吹…綺麗になったな…」
雪男がぼそりと呟く。
人と妖の時の流れが違うことを実感したらしく、また息を詰めていた。
「十六夜、こちらへ」
「…少し待て」
主さまは不機嫌そうな声を出して、息吹と人魚が戯れているのを見た後、晴明の後へ続いて屋敷内へ入った。
「手助けをしてくれるということで、話を今からする。二度は言わぬぞ」
「早く言え」
知古の仲だからこそ、そこで喧嘩腰にはならない。
晴明は帝が息吹に会いたがっていること、そして気に入られれば入内確定になってしまうことを端的に説明した。
「…俺に姿を消して息吹を守れ、と?」
「簡単なことだろう?帝が息吹に何かしようとするならば、殺めぬ程度に脅かせばいい」
「殺さないということは意外と難しいんだぞ」
「人への不殺生はそなたの心情とも言えるだろう。だが傷つける程度なら、可だ。帝などに入内はさせぬ」
いかに息吹を愛しているかーーもちろん養女としての感情だが、主さまは勘繰っているかのように黙り込んでいる。
これを主さまに説明するのは骨が折れる。
何故ならば、主さま自身が息吹の虜になっているからだ。
「…やらぬぞ」
「…何だと?何の話だ?」
「いや、何でもない。協力すると言ったからにはそうしてほしい。もしそなたができぬならば、雪男にでも頼もう。喜んでやってくれるだろう」
気位の高い男を動かす方法はいくらでも知っている。
主さまも例外ではなく、雪男のことを口にすると、鼻の頭に皺が寄った。
「あれは俺の百鬼だ。俺に筋を通すのが普通だろう」
「なに、百鬼夜行の時間以外に使わせてもらう。それでも駄目ならば、道長に…」
「俺がやる」
うまく話に乗ってきた。
雪男にしろ主さまにしろ、少々面倒だがここは譲歩しなければいけないところ。
「よし、息吹に話をする」
息吹を守る会、設立。
晴明は屋敷に張っていた結界を解き、姿を消した状態の主さまたちを招き入れる。
息吹はその時庭に降りて花に水遣りをしていた。
三人が息を詰めているのを見ていた。
厄介なことに、雪男も息吹に見惚れていたので、舌打ちをしそうになる。
人魚の存在はあれど、妖とは無縁の暮らしを送ってほしいと思っていたのに、これではまるで見当違いだ。
「息吹…綺麗になったな…」
雪男がぼそりと呟く。
人と妖の時の流れが違うことを実感したらしく、また息を詰めていた。
「十六夜、こちらへ」
「…少し待て」
主さまは不機嫌そうな声を出して、息吹と人魚が戯れているのを見た後、晴明の後へ続いて屋敷内へ入った。
「手助けをしてくれるということで、話を今からする。二度は言わぬぞ」
「早く言え」
知古の仲だからこそ、そこで喧嘩腰にはならない。
晴明は帝が息吹に会いたがっていること、そして気に入られれば入内確定になってしまうことを端的に説明した。
「…俺に姿を消して息吹を守れ、と?」
「簡単なことだろう?帝が息吹に何かしようとするならば、殺めぬ程度に脅かせばいい」
「殺さないということは意外と難しいんだぞ」
「人への不殺生はそなたの心情とも言えるだろう。だが傷つける程度なら、可だ。帝などに入内はさせぬ」
いかに息吹を愛しているかーーもちろん養女としての感情だが、主さまは勘繰っているかのように黙り込んでいる。
これを主さまに説明するのは骨が折れる。
何故ならば、主さま自身が息吹の虜になっているからだ。
「…やらぬぞ」
「…何だと?何の話だ?」
「いや、何でもない。協力すると言ったからにはそうしてほしい。もしそなたができぬならば、雪男にでも頼もう。喜んでやってくれるだろう」
気位の高い男を動かす方法はいくらでも知っている。
主さまも例外ではなく、雪男のことを口にすると、鼻の頭に皺が寄った。
「あれは俺の百鬼だ。俺に筋を通すのが普通だろう」
「なに、百鬼夜行の時間以外に使わせてもらう。それでも駄目ならば、道長に…」
「俺がやる」
うまく話に乗ってきた。
雪男にしろ主さまにしろ、少々面倒だがここは譲歩しなければいけないところ。
「よし、息吹に話をする」
息吹を守る会、設立。

