「外へ…出てもいい…の…?」
息吹にそう伝えると、じわじわ実感したのかみるみる笑顔になった。
晴明としては心中複雑だったが、これは緊急を要した最悪で最良の方法だった。
昨晩のうちに幽玄町の主さまに飛ばした式神は帰っては来なかった。
…だが、必ず息吹に会いに来るはずだ。
「父様…本当にいいの?」
「いいとも。むしろ今まで閉じ込めておいて申し訳なかったね」
傘を被り、長く薄い布で頭から足元まで姿を覆っているが、それでも息吹はとても喜び、晴明は若干の後ろめたさを感じながら、道長にぼそりと声をかけた。
「屋敷から出た瞬間から見られていると思え。わかったか?」
「うむ、皆まで言うな!」
息吹を伴った晴明と道長が扉を開けた。
そして晴明はすぐに、主さまの気配を感じ取った。
「繁華街は何でも揃っている。何か欲しいものがあれば…」
「お、俺が何でも買ってやろう!」
道長が芝居を始め、息吹は首を捻りながらも繁華街を目にした途端、喜びに打ち震えた。
「父様…!すごく賑わっててすごい!」
「息吹!俺が案内してやる!」
安部晴明と藤原道長という組み合わせに、姿を包み隠した小柄な女子。
噂には聞いていた住民たちがたちまち晴明たちに注目する。
そんな中、晴明の目はついに主さまの姿を捉えた。
髪飾りを売っている店の前で楽しそうに品定めしている息吹のやや後方に、皆には見えないように姿を消している主さま。
「やはり来たか。あの様子では…頼みは受け入れてもらえそうだな」
熱心に息吹に見入っている主さま。
それはそれで晴明としては憂慮すべき案件なのだが、主さまとは目を合わさず、気付いていないふりをしなければいけない。
「しかし、ふふふ…容易かったな。息吹にはまだご執心というわけか」
晴明からしても主さまは育ての親だが、立場は分ち、百鬼にも加わらずに対等の立場として付き合ってきたつもりだ。
からかうと面白い反応をするので、会えば悪口を言い合っていたのが懐かしい。
「会わせることには成功した。次は私が乗り込む番だな」
懐かしき幽玄町。
会いたい者も居る。
だが歓迎はしてはもらえないだろう。
それは分かっていても、行かざるを得ない。
「十六夜…あまり熱心に見つめていると、私が呪詛をかけるぞ」
帝の前に。
息吹にそう伝えると、じわじわ実感したのかみるみる笑顔になった。
晴明としては心中複雑だったが、これは緊急を要した最悪で最良の方法だった。
昨晩のうちに幽玄町の主さまに飛ばした式神は帰っては来なかった。
…だが、必ず息吹に会いに来るはずだ。
「父様…本当にいいの?」
「いいとも。むしろ今まで閉じ込めておいて申し訳なかったね」
傘を被り、長く薄い布で頭から足元まで姿を覆っているが、それでも息吹はとても喜び、晴明は若干の後ろめたさを感じながら、道長にぼそりと声をかけた。
「屋敷から出た瞬間から見られていると思え。わかったか?」
「うむ、皆まで言うな!」
息吹を伴った晴明と道長が扉を開けた。
そして晴明はすぐに、主さまの気配を感じ取った。
「繁華街は何でも揃っている。何か欲しいものがあれば…」
「お、俺が何でも買ってやろう!」
道長が芝居を始め、息吹は首を捻りながらも繁華街を目にした途端、喜びに打ち震えた。
「父様…!すごく賑わっててすごい!」
「息吹!俺が案内してやる!」
安部晴明と藤原道長という組み合わせに、姿を包み隠した小柄な女子。
噂には聞いていた住民たちがたちまち晴明たちに注目する。
そんな中、晴明の目はついに主さまの姿を捉えた。
髪飾りを売っている店の前で楽しそうに品定めしている息吹のやや後方に、皆には見えないように姿を消している主さま。
「やはり来たか。あの様子では…頼みは受け入れてもらえそうだな」
熱心に息吹に見入っている主さま。
それはそれで晴明としては憂慮すべき案件なのだが、主さまとは目を合わさず、気付いていないふりをしなければいけない。
「しかし、ふふふ…容易かったな。息吹にはまだご執心というわけか」
晴明からしても主さまは育ての親だが、立場は分ち、百鬼にも加わらずに対等の立場として付き合ってきたつもりだ。
からかうと面白い反応をするので、会えば悪口を言い合っていたのが懐かしい。
「会わせることには成功した。次は私が乗り込む番だな」
懐かしき幽玄町。
会いたい者も居る。
だが歓迎はしてはもらえないだろう。
それは分かっていても、行かざるを得ない。
「十六夜…あまり熱心に見つめていると、私が呪詛をかけるぞ」
帝の前に。

