身体は大きくなっても、心はいつも変わらない。
小さな頃から晴明と一緒の床で寝ていた息吹は、今後もそれが続くことに疑問を抱いていなかった。
「な、何!?晴明と同衾しているのか!今も!?」
「とてつもなく下世話な勘繰りをしてはいないか、道長?」
「うん、それのどこがいけないの?」
湯呑みを両手で包み込んで三人で談笑していた息吹は、ぽかんと口を開けた。
さらにぽかんと口を開けていたのは道長で、晴明と息吹を見比べて腕を組む。
「そなたらは…その…義理ではあるが、親子ではないのか?」
「もちろん親子だとも。道長…それ以上口を開くと刀を突き刺すぞ」
いつもの微笑を浮かべていた晴明だが、俄かに殺気を感じた道長は、誤魔化すように茶を一気に飲み干した。
「父様?道長様??」
「何でもない!共に寝るほど仲が良いのだなと言いたかっただけだ!息吹、茶を頼む」
用を言い渡して息吹がその場を離れると、道長は扇子で肩を叩きながら、にやりと笑った。
「お前…子離れができんのだな?」
「まさか。寝所へ来るのは時々だし、寂しいと言われてそなたは断れるか?」
「うむ、無理だな!だがさすが理性の男ではある。かように可愛らしい女子と同衾して何もせぬとは!」
「あの子は実の娘同然だし、それは有り得ぬ。…だが悪いが舅いびりはさせてもらう」
それは恐ろしいーー
率直にそう思って身震いした道長は、戻ってきた息吹から茶を受け取ってこれまた率直に問うてみた。
「息吹、そなたは嫁には行きたくないのか?もう年頃だろう?」
「うーん…なんか想像できなくて…。父様と離れなきゃいけないんでしょ?やっぱり想像できない…」
「何だ、子離れできぬ父と、親離れできぬ娘か!これは愉快だな!」
…そう言われて実はぐうの音も出ない晴明はいつも通り平静を装ってごろりと寝転んだ。
「いつかはやって来る。いつかの話は今せずとも良い」
「お前は陰陽師だろうが。先を読んでなんぼの職だぞ!」
「見ずとも良い。この子は幸せになり、私はそれを見守る。それだけわかっていれば良い」
なかなかの親馬鹿っぷり。
口に出さなかった道長だったが、それを敏感に感じ取った晴明がちろりと睨む。
「何だ?」
「いや別に!」
そして最も避けたかった難題が迫ってきていた。
小さな頃から晴明と一緒の床で寝ていた息吹は、今後もそれが続くことに疑問を抱いていなかった。
「な、何!?晴明と同衾しているのか!今も!?」
「とてつもなく下世話な勘繰りをしてはいないか、道長?」
「うん、それのどこがいけないの?」
湯呑みを両手で包み込んで三人で談笑していた息吹は、ぽかんと口を開けた。
さらにぽかんと口を開けていたのは道長で、晴明と息吹を見比べて腕を組む。
「そなたらは…その…義理ではあるが、親子ではないのか?」
「もちろん親子だとも。道長…それ以上口を開くと刀を突き刺すぞ」
いつもの微笑を浮かべていた晴明だが、俄かに殺気を感じた道長は、誤魔化すように茶を一気に飲み干した。
「父様?道長様??」
「何でもない!共に寝るほど仲が良いのだなと言いたかっただけだ!息吹、茶を頼む」
用を言い渡して息吹がその場を離れると、道長は扇子で肩を叩きながら、にやりと笑った。
「お前…子離れができんのだな?」
「まさか。寝所へ来るのは時々だし、寂しいと言われてそなたは断れるか?」
「うむ、無理だな!だがさすが理性の男ではある。かように可愛らしい女子と同衾して何もせぬとは!」
「あの子は実の娘同然だし、それは有り得ぬ。…だが悪いが舅いびりはさせてもらう」
それは恐ろしいーー
率直にそう思って身震いした道長は、戻ってきた息吹から茶を受け取ってこれまた率直に問うてみた。
「息吹、そなたは嫁には行きたくないのか?もう年頃だろう?」
「うーん…なんか想像できなくて…。父様と離れなきゃいけないんでしょ?やっぱり想像できない…」
「何だ、子離れできぬ父と、親離れできぬ娘か!これは愉快だな!」
…そう言われて実はぐうの音も出ない晴明はいつも通り平静を装ってごろりと寝転んだ。
「いつかはやって来る。いつかの話は今せずとも良い」
「お前は陰陽師だろうが。先を読んでなんぼの職だぞ!」
「見ずとも良い。この子は幸せになり、私はそれを見守る。それだけわかっていれば良い」
なかなかの親馬鹿っぷり。
口に出さなかった道長だったが、それを敏感に感じ取った晴明がちろりと睨む。
「何だ?」
「いや別に!」
そして最も避けたかった難題が迫ってきていた。

