晴明が話した若葉の体調――
息吹を含めて皆が目を丸くしてその朗報を喜び、息吹は晴明の手を握って何度も感謝をした。
「父様ありがとう!若葉が生きようとする力…そっか、この子が若葉に力を与えてくれたんだね」
「そうだねえ、私も驚いたよ。病自体は完治するものではないが、進行は完全に止まっている。だがいつまた体調が悪くなるか…」
「ううん、若葉はきっと大丈夫だよ。そっか…良かったね子狐ちゃん。若葉は頑張ってるよ」
「きゅんきゅんっ」
鼻を鳴らして尻尾を振り回す子狐を微笑ましく見守っていた頃――
銀と若葉は、両手を繋いでとても大切な話をしていた。
「若葉…ここから離れよう。もっと空気のいいところへ移動して…そうだな、高千穂がいい。高千穂へ行って、神の御許で3人で暮らそう。…嫌か?」
「ううん、嫌じゃないよ。神様が私の魂を救ってくれたんだから、私も傍に居たい。…お姉ちゃんたちと離れちゃうのは悲しいけど…いつかは離れなきゃいけないし、お別れをする決心はついてるから」
「空気と水が良い場所…そして息吹から貰った腹帯があれば2人目だってできるかもしれない。俺も頑張るから、お前も頑張れ」
「もう…ぎんちゃんの助平」
ふかふかの両耳を思いきり引っ張られながらも笑った若葉を抱きしめていると、襖をがりがりと引っ掻くような音がして振り返った。
鼻先をぐいぐい押しつけて襖を開けた子狐が駆け寄って来て膝に上り込み、銀は腹をくすぐってやりながら、2人で決めたことを話した。
「引っ越しをするぞ。十六夜が明日百鬼夜行から戻って来たらこのことを話してすぐに移動する。今のうちに晴明や息吹たちに撫でてもらえ」
「きゅうん」
また飛び出して行った子狐を追いかけて大広間へ行くと、銀と若葉の瞳に燈る決意の色に気付いた晴明は、手にしていた盃を置いて背筋を伸ばした。
「父様?」
「何かとても大切な話があるようだ。さあ、こちらへ」
若葉は息吹の隣に座り、銀は晴明の隣に座って、冷静な眼差しで見つめてくる朔ときょとんとしている息吹を交互に見て、高千穂へ移動することを静かに話した。
最初は動揺していた息吹だったが、若葉が握った手に力を込めると、息吹は袖で目じりを拭いながらも笑顔で応援してくれた。
「寂しいけど…銀さんと若葉の人生だもん。2人が幸せに暮らして行ける方法を見つけたのなら、そうするのがいいと思う。ね、朔ちゃん」
「…はい。ぎん、お前には俺の百鬼夜行に加わってもらう予定だ。それを忘れるな」
「わかっている。いつか…5年以上かかるだろうが、待っていてくれ」
不安など、ありはしない。
息吹を含めて皆が目を丸くしてその朗報を喜び、息吹は晴明の手を握って何度も感謝をした。
「父様ありがとう!若葉が生きようとする力…そっか、この子が若葉に力を与えてくれたんだね」
「そうだねえ、私も驚いたよ。病自体は完治するものではないが、進行は完全に止まっている。だがいつまた体調が悪くなるか…」
「ううん、若葉はきっと大丈夫だよ。そっか…良かったね子狐ちゃん。若葉は頑張ってるよ」
「きゅんきゅんっ」
鼻を鳴らして尻尾を振り回す子狐を微笑ましく見守っていた頃――
銀と若葉は、両手を繋いでとても大切な話をしていた。
「若葉…ここから離れよう。もっと空気のいいところへ移動して…そうだな、高千穂がいい。高千穂へ行って、神の御許で3人で暮らそう。…嫌か?」
「ううん、嫌じゃないよ。神様が私の魂を救ってくれたんだから、私も傍に居たい。…お姉ちゃんたちと離れちゃうのは悲しいけど…いつかは離れなきゃいけないし、お別れをする決心はついてるから」
「空気と水が良い場所…そして息吹から貰った腹帯があれば2人目だってできるかもしれない。俺も頑張るから、お前も頑張れ」
「もう…ぎんちゃんの助平」
ふかふかの両耳を思いきり引っ張られながらも笑った若葉を抱きしめていると、襖をがりがりと引っ掻くような音がして振り返った。
鼻先をぐいぐい押しつけて襖を開けた子狐が駆け寄って来て膝に上り込み、銀は腹をくすぐってやりながら、2人で決めたことを話した。
「引っ越しをするぞ。十六夜が明日百鬼夜行から戻って来たらこのことを話してすぐに移動する。今のうちに晴明や息吹たちに撫でてもらえ」
「きゅうん」
また飛び出して行った子狐を追いかけて大広間へ行くと、銀と若葉の瞳に燈る決意の色に気付いた晴明は、手にしていた盃を置いて背筋を伸ばした。
「父様?」
「何かとても大切な話があるようだ。さあ、こちらへ」
若葉は息吹の隣に座り、銀は晴明の隣に座って、冷静な眼差しで見つめてくる朔ときょとんとしている息吹を交互に見て、高千穂へ移動することを静かに話した。
最初は動揺していた息吹だったが、若葉が握った手に力を込めると、息吹は袖で目じりを拭いながらも笑顔で応援してくれた。
「寂しいけど…銀さんと若葉の人生だもん。2人が幸せに暮らして行ける方法を見つけたのなら、そうするのがいいと思う。ね、朔ちゃん」
「…はい。ぎん、お前には俺の百鬼夜行に加わってもらう予定だ。それを忘れるな」
「わかっている。いつか…5年以上かかるだろうが、待っていてくれ」
不安など、ありはしない。

