その夜主さまたちが百鬼夜行に出かけた後、息吹と若葉は一緒に食事を作り、足元を走り回る子狐に頬を緩めながら談笑していた。
「この子本当に可愛い。大きくなったら銀さんそっくりになるだろうからもてちゃうだろうね」
「うん、でもぎんちゃんみたいに女遊びばかりしないようにしなきゃ。昔は主さまも沢山遊んでたって聞いたけど本当?」
「私と夫婦になる前の話だけど、本当だよ。主さまったらああ見えてすっごく助平なんだから」
「ぎんちゃんもだよ。ぎんちゃんもああ見えて…」
…とんでもない暴露大会になりそうな有様だったので、大広間の方で聞き耳を立てていた銀は、駆け寄ってきた子狐の耳を塞いでため息をついた。
「俺も女遊びをしていたのは若葉と夫婦になる前の話なんだが」
「身から出た錆だ。ぎん、おじい様に若葉をよく診てもらえ。…心配なんだ」
常に若葉のことを気にかけてくれる朔が酒を呷った後玄関へ行くと、そこには薬箱を抱えた式神の童女と晴明が佇んでいた。
朔は大のおじい様好きで、冷淡な美貌にありありと喜びの色が浮かんで晴明の腕を引っ張った。
「おじい様、お待ちしていました。今夜はご馳走ですよ」
「ほう、これは良い席に呼んでもらった。百鬼夜行がてら我が屋敷に寄った十六夜から誘いを受けたのだが、若葉の体調を診ろと一点張りされてねえ。私は薬師ではないのだが」
「おじい様の見立ては薬師よりも正確ですから。さあ、早く入って」
長子の朔を小さな頃から猫可愛がりしてきた晴明は、朔の肩を抱いて中へ上がり、ぴょんと飛び跳ねて無理矢理抱っこしてきた子狐の脇を抱えて目線まで持ってくると、にこりと笑った。
「これは元気がいい。幼い頃の私にそっくりだな」
「嘘をつけ、お前は小さな頃は無愛想で無口だったじゃないか。…あ、おい…」
晴明の前で撫でろと言わんばかりに腹を出して寝転んだ子狐の懐きっぷりに嫉妬した銀がむっとすると、大量の料理が乗った皿を抱えて息吹たちが大広間に戻って来た。
早速息吹の顔が輝き、雪男や山姫も加わると、部屋は明るい雰囲気に包まれて、若葉の顔色もさらに良く見えた。
…だが…
それを朔のように怪訝に思っている男も居た。
「やけに顔色が良い。さて、どうしたものか」
ぼそりと呟いた晴明は、笑顔の若葉に微笑み返しながら、密かに眉を潜めた。
「この子本当に可愛い。大きくなったら銀さんそっくりになるだろうからもてちゃうだろうね」
「うん、でもぎんちゃんみたいに女遊びばかりしないようにしなきゃ。昔は主さまも沢山遊んでたって聞いたけど本当?」
「私と夫婦になる前の話だけど、本当だよ。主さまったらああ見えてすっごく助平なんだから」
「ぎんちゃんもだよ。ぎんちゃんもああ見えて…」
…とんでもない暴露大会になりそうな有様だったので、大広間の方で聞き耳を立てていた銀は、駆け寄ってきた子狐の耳を塞いでため息をついた。
「俺も女遊びをしていたのは若葉と夫婦になる前の話なんだが」
「身から出た錆だ。ぎん、おじい様に若葉をよく診てもらえ。…心配なんだ」
常に若葉のことを気にかけてくれる朔が酒を呷った後玄関へ行くと、そこには薬箱を抱えた式神の童女と晴明が佇んでいた。
朔は大のおじい様好きで、冷淡な美貌にありありと喜びの色が浮かんで晴明の腕を引っ張った。
「おじい様、お待ちしていました。今夜はご馳走ですよ」
「ほう、これは良い席に呼んでもらった。百鬼夜行がてら我が屋敷に寄った十六夜から誘いを受けたのだが、若葉の体調を診ろと一点張りされてねえ。私は薬師ではないのだが」
「おじい様の見立ては薬師よりも正確ですから。さあ、早く入って」
長子の朔を小さな頃から猫可愛がりしてきた晴明は、朔の肩を抱いて中へ上がり、ぴょんと飛び跳ねて無理矢理抱っこしてきた子狐の脇を抱えて目線まで持ってくると、にこりと笑った。
「これは元気がいい。幼い頃の私にそっくりだな」
「嘘をつけ、お前は小さな頃は無愛想で無口だったじゃないか。…あ、おい…」
晴明の前で撫でろと言わんばかりに腹を出して寝転んだ子狐の懐きっぷりに嫉妬した銀がむっとすると、大量の料理が乗った皿を抱えて息吹たちが大広間に戻って来た。
早速息吹の顔が輝き、雪男や山姫も加わると、部屋は明るい雰囲気に包まれて、若葉の顔色もさらに良く見えた。
…だが…
それを朔のように怪訝に思っている男も居た。
「やけに顔色が良い。さて、どうしたものか」
ぼそりと呟いた晴明は、笑顔の若葉に微笑み返しながら、密かに眉を潜めた。

