自らが不貞を侵しておきながらも、若葉を忘れることができない。
…むしろ銀を想いながら嫁いできた若葉を優しく見守らなければならない立場に在ったのに…
自分を受け入れずに銀に恋をしたままの若葉と一緒に居ることが絶えられなくなり、逃げてしまった自分――
だが…それでも若葉の存在は1番愛しくて、大切だった。
そして…傷つけてしまい、あと5年の余命にさせてしまった罪を償い切れない。
「若葉…幸せなんですよね?銀さんが幸せにしてくれたんですよね?」
「当然だ。お前が不貞を働いたせいで若葉は自殺未遂を起こして短命になったんだぞ。…まあいい、お前には言いたいことが山ほどあったが、若葉のことはもう忘れろ。それでいい」
若葉の膝の上でまん丸になって眠っている子狐――
そのふかふかな毛並みを優しい手つきで撫でて、優しい眼差しで見つめている若葉――
自分と一緒に居た時はあんな安らいだ表情を見せたことはなく、表情も硬かった。
だが笑うことも多くて、自分と夫婦になったことを喜んでくれているものだと思っていたから…余計に打ちのめされた。
「…お前の嫁と子は元気にしているのか」
「……俺の両親は受け入れていません。周囲の人たちも冷たくなって…俺が若葉を裏切ったから…」
俯いた丙は、周囲の人間が掌を返して冷たくなったことで、また罪を重たく感じていた。
若葉は主さまが率いる幽玄町を治める妖が育てたと言っても過言ではない存在。
主さまを怒らせてしまえばどうなるか――
若葉の生い立ちを知っていながらどうしてあんなひどいことができるのか、と無言で詰り、夫婦になった幼馴染の女と我が子は肩身の狭い思いをしているが、自分と夫婦になれたことを幼馴染の女は喜んだ。
大切にしてやらなければ、と思いながらも脚が勝手に動いてここまで来てしまったこと…言い訳のしようもない。
「お前はそれだけの裏切りを行った。見ての通り若葉は幸せに暮らしている。お前が不貞を働いたことで若葉は俺の元に戻って来た。ある意味感謝しているぞ」
「…どうしてそんな明るい表情をしているんですか?俺が…俺が若葉の命を短くしたのに…」
銀は耳をぴょこんと動かしながら眉を上げて肩を竦めた。
「俺たちは再びまた出会う。別れなど…怖くはない」
怖いことなどない。
別れは、一瞬だけ。
…むしろ銀を想いながら嫁いできた若葉を優しく見守らなければならない立場に在ったのに…
自分を受け入れずに銀に恋をしたままの若葉と一緒に居ることが絶えられなくなり、逃げてしまった自分――
だが…それでも若葉の存在は1番愛しくて、大切だった。
そして…傷つけてしまい、あと5年の余命にさせてしまった罪を償い切れない。
「若葉…幸せなんですよね?銀さんが幸せにしてくれたんですよね?」
「当然だ。お前が不貞を働いたせいで若葉は自殺未遂を起こして短命になったんだぞ。…まあいい、お前には言いたいことが山ほどあったが、若葉のことはもう忘れろ。それでいい」
若葉の膝の上でまん丸になって眠っている子狐――
そのふかふかな毛並みを優しい手つきで撫でて、優しい眼差しで見つめている若葉――
自分と一緒に居た時はあんな安らいだ表情を見せたことはなく、表情も硬かった。
だが笑うことも多くて、自分と夫婦になったことを喜んでくれているものだと思っていたから…余計に打ちのめされた。
「…お前の嫁と子は元気にしているのか」
「……俺の両親は受け入れていません。周囲の人たちも冷たくなって…俺が若葉を裏切ったから…」
俯いた丙は、周囲の人間が掌を返して冷たくなったことで、また罪を重たく感じていた。
若葉は主さまが率いる幽玄町を治める妖が育てたと言っても過言ではない存在。
主さまを怒らせてしまえばどうなるか――
若葉の生い立ちを知っていながらどうしてあんなひどいことができるのか、と無言で詰り、夫婦になった幼馴染の女と我が子は肩身の狭い思いをしているが、自分と夫婦になれたことを幼馴染の女は喜んだ。
大切にしてやらなければ、と思いながらも脚が勝手に動いてここまで来てしまったこと…言い訳のしようもない。
「お前はそれだけの裏切りを行った。見ての通り若葉は幸せに暮らしている。お前が不貞を働いたことで若葉は俺の元に戻って来た。ある意味感謝しているぞ」
「…どうしてそんな明るい表情をしているんですか?俺が…俺が若葉の命を短くしたのに…」
銀は耳をぴょこんと動かしながら眉を上げて肩を竦めた。
「俺たちは再びまた出会う。別れなど…怖くはない」
怖いことなどない。
別れは、一瞬だけ。

