銀と若葉が夫婦になってからは、2人は本当に幸せそうだった。
若葉が体調を崩さないように万全に注意をしつつ、天気が良い日は時々幽玄町から抜け出してどこかへ出かけている。
そういう時は銀が大きな白狐の姿になって若葉を乗せているのだが、銀の尻尾はちぎれんばかりに動いていた。
だが…気がかりがひとつ。
「ねえ主さま…まだなのかなあ」
「子のことか。そうだな…まだだと言っていた」
…あれから5年が経った。
すぐにできると思っていた子供はまだ出来ず、若葉の体調のせいもあるだろうが、元々妖と人との間の子は出来にくい。
主さまと息吹の場合は例外で、本来こうして何年も何十年も子供が出来にくいのが普通だ。
あと5年…
その気の焦りを最近特に感じられて、心苦しい時があった。
「確か今日は子宝の神社に出かけると言っていた。…最近あの2人はそういった神社をしらみつぶしに探しているらしい」
「…見てられないよ…。主さま…私たちに何かできることはないの?どうしたらいいと思う?」
「できることはない。…子が出来なくとも、再び転生して生まれ変われば…」
「若葉は今赤ちゃんが欲しいの!どうしてわかってあげないのっ?」
つい声を荒げた息吹ははっとして、両手で口を覆って部屋から立ち去ると、庭に飛び出て井戸に向かった。
唇を噛み締めながら手桶に水を汲んでいると、背後からそっと肩に触れてきた大きな手を感じて、ぽとりと涙が零れた。
「息吹…」
「…主さま…ごめんなさい…。1番つらいのは銀さんと若葉なのに主さまを責めるなんて私…」
「…俺も協力する。百鬼にも声をかけて、何か方法を探そう。お前もあまり気に病むな。腹の子に響く」
「…うん…」
大きな息吹の腹を撫でた主さまは、夕方になって集結してきた百鬼たちにそれぞれ声をかけて方法を探し始めた。
夕方になってようやく戻って来た銀と若葉の表情は明るく、それが余計に痛々しい。
目には見えないが…5年も子供に恵まれないことを思い悩んでいることは間違いないので、息吹は大きな腹を抱えて若葉に近寄ると、細い肩を抱いた。
「ねえ若葉、今日は泊まっていかない?」
「いいの?ぎんちゃん、そうしようよ」
「ああ、それもいいな。雪男、晩酌に付き合え」
「えー?お前酒豪だからどうしようかなあ」
若葉が何度も腹に視線を遣ってくる。
息吹はなんだか申し訳ない気分になりつつ、若葉と一緒に屋敷へ上がった。
若葉が体調を崩さないように万全に注意をしつつ、天気が良い日は時々幽玄町から抜け出してどこかへ出かけている。
そういう時は銀が大きな白狐の姿になって若葉を乗せているのだが、銀の尻尾はちぎれんばかりに動いていた。
だが…気がかりがひとつ。
「ねえ主さま…まだなのかなあ」
「子のことか。そうだな…まだだと言っていた」
…あれから5年が経った。
すぐにできると思っていた子供はまだ出来ず、若葉の体調のせいもあるだろうが、元々妖と人との間の子は出来にくい。
主さまと息吹の場合は例外で、本来こうして何年も何十年も子供が出来にくいのが普通だ。
あと5年…
その気の焦りを最近特に感じられて、心苦しい時があった。
「確か今日は子宝の神社に出かけると言っていた。…最近あの2人はそういった神社をしらみつぶしに探しているらしい」
「…見てられないよ…。主さま…私たちに何かできることはないの?どうしたらいいと思う?」
「できることはない。…子が出来なくとも、再び転生して生まれ変われば…」
「若葉は今赤ちゃんが欲しいの!どうしてわかってあげないのっ?」
つい声を荒げた息吹ははっとして、両手で口を覆って部屋から立ち去ると、庭に飛び出て井戸に向かった。
唇を噛み締めながら手桶に水を汲んでいると、背後からそっと肩に触れてきた大きな手を感じて、ぽとりと涙が零れた。
「息吹…」
「…主さま…ごめんなさい…。1番つらいのは銀さんと若葉なのに主さまを責めるなんて私…」
「…俺も協力する。百鬼にも声をかけて、何か方法を探そう。お前もあまり気に病むな。腹の子に響く」
「…うん…」
大きな息吹の腹を撫でた主さまは、夕方になって集結してきた百鬼たちにそれぞれ声をかけて方法を探し始めた。
夕方になってようやく戻って来た銀と若葉の表情は明るく、それが余計に痛々しい。
目には見えないが…5年も子供に恵まれないことを思い悩んでいることは間違いないので、息吹は大きな腹を抱えて若葉に近寄ると、細い肩を抱いた。
「ねえ若葉、今日は泊まっていかない?」
「いいの?ぎんちゃん、そうしようよ」
「ああ、それもいいな。雪男、晩酌に付き合え」
「えー?お前酒豪だからどうしようかなあ」
若葉が何度も腹に視線を遣ってくる。
息吹はなんだか申し訳ない気分になりつつ、若葉と一緒に屋敷へ上がった。

