延命に良いとされるものや滋養のあるものを食べて、若葉に普段のように体力がつくと、息吹がにこにこしながら仲良く肩を並べて火鉢の前に座っていた銀と若葉の前に座った。
「ねえ、明日は祝言なんだけど、若葉にこれを使ってほしいの」
「お姉ちゃん?……これ…珊瑚の簪…?」
「珍しいものみたいなんだけど、綺麗な色でしょ?祝言って言っても身内だけで挙げるようなものだから外を歩いたりはしないけど、これ…貰ってくれる?」
鮮やかな朱色の珊瑚の簪は、目利きのない若葉でも相当に高価なものだとすぐにわかった。
もしかしたらこれひとつで家が建てられるのではないかというほどの価値のあるものに、顔を上げて断ろうとしたのだが、息吹は若葉の口を両手で塞いで唇を尖らせた。
「駄目だよ、これは私と主さまからの贈り物だから。ね、銀さん、若葉の髪に挿してみて」
「ああ、こんな良い品をありがたい。後で返せと言われても返さないからな」
若葉が頭を下げ、銀が珊瑚の簪を髪に挿す。
揺れる珊瑚の玉飾りもまた見事な出来栄えで、若葉は手鏡を覗き込むと、嬉しそうに笑った。
「ぎんちゃん、どう?」
「ん、綺麗だな。珊瑚の簪が」
「もういい、ぎんちゃんに聞いた私が馬鹿だった」
「ははっ、冗談だ冗談。息吹、後で十六夜に礼が言いたいから伝えておいてくれ」
銀のふかふかの尻尾がいつも以上にぴょこぴょこ動いているのでとても喜んでいるのだとわかると、息吹もとても嬉しい気分になって、ごくりと息を呑みながら手をわきわきさせた。
「ね、ねえ若葉…銀さんの尻尾…触ってもいいかな…」
「うん、いいよ」
「何故俺の許可は取らないんだ。これは俺の尻尾だぞ、この助平共め」
なんと言われようと銀の尻尾と耳が大好きな息吹と若葉から揃って尻尾をもみくちゃにされていると、背後から大きな咳払いが聞こえた。
夫婦になってもやきもち焼きだけは止めることのできない主さまから睨まれた銀は、長い尻尾を奪い返して膝の上に避難させると、ぼさぼさになった尻尾の毛を撫でながら笑った。
「良い品を貰った。いつか必ず恩返しをする」
「恩返しなど期待していない。それより明日はお前にも袴を穿いてもらうぞ。それでちゃらにしてやろう」
相変わらず性格の悪い提案に銀が眉を潜めると、息吹と若葉が楽しそうに笑った。
「ねえ、明日は祝言なんだけど、若葉にこれを使ってほしいの」
「お姉ちゃん?……これ…珊瑚の簪…?」
「珍しいものみたいなんだけど、綺麗な色でしょ?祝言って言っても身内だけで挙げるようなものだから外を歩いたりはしないけど、これ…貰ってくれる?」
鮮やかな朱色の珊瑚の簪は、目利きのない若葉でも相当に高価なものだとすぐにわかった。
もしかしたらこれひとつで家が建てられるのではないかというほどの価値のあるものに、顔を上げて断ろうとしたのだが、息吹は若葉の口を両手で塞いで唇を尖らせた。
「駄目だよ、これは私と主さまからの贈り物だから。ね、銀さん、若葉の髪に挿してみて」
「ああ、こんな良い品をありがたい。後で返せと言われても返さないからな」
若葉が頭を下げ、銀が珊瑚の簪を髪に挿す。
揺れる珊瑚の玉飾りもまた見事な出来栄えで、若葉は手鏡を覗き込むと、嬉しそうに笑った。
「ぎんちゃん、どう?」
「ん、綺麗だな。珊瑚の簪が」
「もういい、ぎんちゃんに聞いた私が馬鹿だった」
「ははっ、冗談だ冗談。息吹、後で十六夜に礼が言いたいから伝えておいてくれ」
銀のふかふかの尻尾がいつも以上にぴょこぴょこ動いているのでとても喜んでいるのだとわかると、息吹もとても嬉しい気分になって、ごくりと息を呑みながら手をわきわきさせた。
「ね、ねえ若葉…銀さんの尻尾…触ってもいいかな…」
「うん、いいよ」
「何故俺の許可は取らないんだ。これは俺の尻尾だぞ、この助平共め」
なんと言われようと銀の尻尾と耳が大好きな息吹と若葉から揃って尻尾をもみくちゃにされていると、背後から大きな咳払いが聞こえた。
夫婦になってもやきもち焼きだけは止めることのできない主さまから睨まれた銀は、長い尻尾を奪い返して膝の上に避難させると、ぼさぼさになった尻尾の毛を撫でながら笑った。
「良い品を貰った。いつか必ず恩返しをする」
「恩返しなど期待していない。それより明日はお前にも袴を穿いてもらうぞ。それでちゃらにしてやろう」
相変わらず性格の悪い提案に銀が眉を潜めると、息吹と若葉が楽しそうに笑った。

