縁側に出ることを許された若葉は、それでも朔から身動きができないほどの袢纏を着せられてもこもこになっていた。
そして忙しく動き回る息吹と、息吹について回る雪男と、普段は寝ているはずの昼間に部屋から出てきてそんな息吹を見ている主さまをじっと見ていた。
「…なんだ」
「主さまが起きてる。雪ちゃんを見張ってるの?」
「あんな餓鬼見張る程のものでもない。それより銀はどこに行った?」
「滋養のあるものを探しに行くって言ってた。でも滋養のあるものはお姉ちゃんが作ってくれてるし…」
「…ここから出て行ってもしばらくはうちに飯を食いに来い。息吹が心配でたまらないと言っていた」
――母でもあり、姉でもある息吹をとても心配させていることを憂いていた若葉の顔についその色が浮かんでしまうと、主さまは団子が乗った皿を若葉に寄せながら、煙管を噛んだ。
「あれは心配性だから気に病むな。それより最近銀は丸くなった。子ができればきっと父らしくなるだろう。俺も楽しみにしている」
「赤ちゃんのこと?主さまとお姉ちゃんみたいに沢山赤ちゃんができたらいいな。そしたらぎんちゃんが寂しくならないでしょ?」
そう言って微笑んだ若葉の言葉に一抹の寂しさを覚えた主さまは、2歩ほど離れて座っていた若葉を手招きして隣に座らせると、若葉の頭を撫でた。
「仲睦まじくあれれば、子などどれだけでもできる。お前と銀なら大丈夫だ。……なんだ朔」
「俺もお話に加えて下さい」
朔が主さまと若葉の間に割って入ると、若葉は主さまに優しい言葉をかけられて嬉しくなって、朔の腕に抱き着いた。
「朔ちゃん、主さまが優しくしてくれた」
「お父様だって若葉を心配しているんだ。そういえばおじいさまが漢から取り寄せた貴重な薬があるって言ってたから、後で取りに行くよ」
「ありがとう。私…みんなに甘えたままでいいのかな…」
「気にするな。俺たちはお前が少しでも長く生きることができるように力を貸してやる。それと銀と夫婦喧嘩をした時は、すぐここに駆け込んで来い」
昔から百鬼を含めて皆は優しかったが、病を患ってからはさらに優しくなった。
気遣ってくれるその心が嬉しいと同時に申し訳なくも思っていたが、それを口にするときっと怒られるので黙っていることにした若葉は、男らしくなった朔を見上げてにこっと笑った。
優しい時を刻んでいこう。
優しい時を――
そして忙しく動き回る息吹と、息吹について回る雪男と、普段は寝ているはずの昼間に部屋から出てきてそんな息吹を見ている主さまをじっと見ていた。
「…なんだ」
「主さまが起きてる。雪ちゃんを見張ってるの?」
「あんな餓鬼見張る程のものでもない。それより銀はどこに行った?」
「滋養のあるものを探しに行くって言ってた。でも滋養のあるものはお姉ちゃんが作ってくれてるし…」
「…ここから出て行ってもしばらくはうちに飯を食いに来い。息吹が心配でたまらないと言っていた」
――母でもあり、姉でもある息吹をとても心配させていることを憂いていた若葉の顔についその色が浮かんでしまうと、主さまは団子が乗った皿を若葉に寄せながら、煙管を噛んだ。
「あれは心配性だから気に病むな。それより最近銀は丸くなった。子ができればきっと父らしくなるだろう。俺も楽しみにしている」
「赤ちゃんのこと?主さまとお姉ちゃんみたいに沢山赤ちゃんができたらいいな。そしたらぎんちゃんが寂しくならないでしょ?」
そう言って微笑んだ若葉の言葉に一抹の寂しさを覚えた主さまは、2歩ほど離れて座っていた若葉を手招きして隣に座らせると、若葉の頭を撫でた。
「仲睦まじくあれれば、子などどれだけでもできる。お前と銀なら大丈夫だ。……なんだ朔」
「俺もお話に加えて下さい」
朔が主さまと若葉の間に割って入ると、若葉は主さまに優しい言葉をかけられて嬉しくなって、朔の腕に抱き着いた。
「朔ちゃん、主さまが優しくしてくれた」
「お父様だって若葉を心配しているんだ。そういえばおじいさまが漢から取り寄せた貴重な薬があるって言ってたから、後で取りに行くよ」
「ありがとう。私…みんなに甘えたままでいいのかな…」
「気にするな。俺たちはお前が少しでも長く生きることができるように力を貸してやる。それと銀と夫婦喧嘩をした時は、すぐここに駆け込んで来い」
昔から百鬼を含めて皆は優しかったが、病を患ってからはさらに優しくなった。
気遣ってくれるその心が嬉しいと同時に申し訳なくも思っていたが、それを口にするときっと怒られるので黙っていることにした若葉は、男らしくなった朔を見上げてにこっと笑った。
優しい時を刻んでいこう。
優しい時を――

