潭月が一旦里へ戻り、“先に高千穂峰へ行け”と言われて仕方なくそれに従った主さまがまた高千穂峰へ赴くと、ちょうど銀が腰を上げてその場から去ろうとしていたところだった。
「銀、少し待て。俺ができる精一杯のことを今からやる。お前は大人しくして見ていろ」
「…?何をするつもりだ?」
長時間精神集中をしたせいでやつれきった表情の銀がいたたまれない。
だが若葉の前では笑顔を見せて、疲れを微塵も感じさせずに振舞っている姿は、普段よほどのことでもなければ心を動かされることのない主さまをも突き動かした。
怪訝な表情を浮かべている銀と見つめ合っていると、遠くから祭囃子のような笛や太鼓の音が聞こえた。
耳を澄ましているとだんだんそれは近付いてきて、はっきりと姿を捉えられるようになった。
「あれは…潭月か?白装束…?あいつ何をするつもりなんだ?」
「まあ見ていろ。…俺も加勢する」
5人ほどの鬼族の男たちを率いて現れた潭月は、純白の白装束を身につけ、不敵に笑っていた。
いかにも恩着せがましいその笑みにいらっときた銀が口を開こうとした時、それに被せるようにして潭月が主さまの隣に舞い降りた。
「神降ろしの儀式を行う。成功するかは五分五分だが、失敗したとしても文句は言うな」
「なんだそれは。神降ろし…?」
「もう喋るな。始めるぞ」
笛や太鼓を手にした鬼族の男たちは、袖を払って懐から白い扇子を取り出した潭月を取り囲むようにして座った。
そして主さまは潭月から手渡された白装束を木陰で着た後潭月の前に立ち、同じように扇子を手にして固い表情で潭月を見つめる。
「緊張しているな?可愛い奴め」
「うるさい黙れ。あれを舞えばいいんだな?」
「ああ、俺に合わせろ。神は殊更舞いと楽を好むと言われている。そして俺たちが舞うのは神降ろしの舞いだ。これが届けば、再び神は降臨する」
銀が固唾を呑んで見守る中、潭月の目配せと共に笛や太鼓の音が鳴り響く。
そして――ふわりふわりと浮かぶようにして独特の舞いが始まり、潭月と主さまは交差しながら扇子を華麗に操って神に祈りを捧げる。
それはとても幻想的な光景で、身体から魂が抜け出てしまうような錯覚を覚えた銀は、ぐらぐらと揺れる頭を抱えながらも目を離せずにいた。
そうしているうちに楽の音は徐々に盛り上がりを見せて、集中が高まってゆく。
すると…
空が一瞬真っ白な閃光を見せた。
潭月は改心の笑みを浮かべて、動きを止めた。
「銀、少し待て。俺ができる精一杯のことを今からやる。お前は大人しくして見ていろ」
「…?何をするつもりだ?」
長時間精神集中をしたせいでやつれきった表情の銀がいたたまれない。
だが若葉の前では笑顔を見せて、疲れを微塵も感じさせずに振舞っている姿は、普段よほどのことでもなければ心を動かされることのない主さまをも突き動かした。
怪訝な表情を浮かべている銀と見つめ合っていると、遠くから祭囃子のような笛や太鼓の音が聞こえた。
耳を澄ましているとだんだんそれは近付いてきて、はっきりと姿を捉えられるようになった。
「あれは…潭月か?白装束…?あいつ何をするつもりなんだ?」
「まあ見ていろ。…俺も加勢する」
5人ほどの鬼族の男たちを率いて現れた潭月は、純白の白装束を身につけ、不敵に笑っていた。
いかにも恩着せがましいその笑みにいらっときた銀が口を開こうとした時、それに被せるようにして潭月が主さまの隣に舞い降りた。
「神降ろしの儀式を行う。成功するかは五分五分だが、失敗したとしても文句は言うな」
「なんだそれは。神降ろし…?」
「もう喋るな。始めるぞ」
笛や太鼓を手にした鬼族の男たちは、袖を払って懐から白い扇子を取り出した潭月を取り囲むようにして座った。
そして主さまは潭月から手渡された白装束を木陰で着た後潭月の前に立ち、同じように扇子を手にして固い表情で潭月を見つめる。
「緊張しているな?可愛い奴め」
「うるさい黙れ。あれを舞えばいいんだな?」
「ああ、俺に合わせろ。神は殊更舞いと楽を好むと言われている。そして俺たちが舞うのは神降ろしの舞いだ。これが届けば、再び神は降臨する」
銀が固唾を呑んで見守る中、潭月の目配せと共に笛や太鼓の音が鳴り響く。
そして――ふわりふわりと浮かぶようにして独特の舞いが始まり、潭月と主さまは交差しながら扇子を華麗に操って神に祈りを捧げる。
それはとても幻想的な光景で、身体から魂が抜け出てしまうような錯覚を覚えた銀は、ぐらぐらと揺れる頭を抱えながらも目を離せずにいた。
そうしているうちに楽の音は徐々に盛り上がりを見せて、集中が高まってゆく。
すると…
空が一瞬真っ白な閃光を見せた。
潭月は改心の笑みを浮かべて、動きを止めた。

