若葉がまだ男を知らないということを知って有り得ない程実は喜んでいた銀は、若葉が眠っている間に庭の掃除をしていた雪男に声をかけた。
「おい、少し手伝ってほしいことがあるんだが、いいか?」
「なんだよ、俺は今息吹にお願いされて忙しいの」
「すぐに済む。後で息吹も来るから手伝え」
「本当か?じゃあ手伝う」
相変わらず息吹に惚れている雪男は呆気なく手にしていた箒を手放すと、ほいほいと銀に連れられて新しい屋敷に戻った。
若葉を失ってから1度も戻っていない屋敷は埃っぽく、荒れている。
箪笥の引き出しは開いたままで、夜逃げ同然で若葉が逃げ出した時と同じ状態で、ようやく笑い話にできるようになった銀は肩を竦めて鼻を鳴らした。
「こんな状態では若葉をここには戻せない。埃を吸い込んで病が悪化することだけは避けたい」
「…あと10年だってな。可哀そうに…。よし俺も手伝うぞ、井戸の水も汚れてるだろうから綺麗にしておいてやる」
「ああ助かる」
雪男と2人で掃除をしていると、本来なら小さな埃など気にも留めない銀は、水で濡らした手拭いで入念にそれを拭き取りながら、小さく笑った。
ここで10年…一緒に生きてゆく場所だ。
もしくはもっと空気の良い所で過ごした方がいいのであれば、引っ越しも辞さないつもりでいる。
若葉と幸せに生きれるのであれば、どんなことでもやってみせる。
「銀さん、手伝いに来たよ。あ、雪ちゃんが居る!雪ちゃんも手伝ってくれてるんだね、ありがとう」
「息吹!まあな、俺も何か手伝いたかったし。じゃあお前は庭の落ち葉を集めてくれよ」
にこにこしている息吹の肩に何気なく触れながら笑いかけた雪男は、もうずっと長い間報われない恋心を息吹に抱いている。
主さまに適うわけがないのでかなり不毛な恋といえるが、本人は息吹の傍に居れるのならば、どんなことでもすると決めているらしい。
「お前はまた変わった男だな。息吹がいつかお前に心変わりするとでも思っているのか?」
「さあな、俺はただ息吹の傍に居たいだけだ。…触ると火傷するけど、それでも触りたいし。…今のは主さまに言うなよ」
雪男は息吹と出会ってさらに美しい男になった。
女の妖からの人気も絶大だが、本人は全くといっていいほど見向きもせず、子供たちの世話を手伝いながら日々を過ごしている。
「それぞれの想い方があるということか…」
銀は畳の埃を丁寧に拭いながら、想いを馳せた。
「おい、少し手伝ってほしいことがあるんだが、いいか?」
「なんだよ、俺は今息吹にお願いされて忙しいの」
「すぐに済む。後で息吹も来るから手伝え」
「本当か?じゃあ手伝う」
相変わらず息吹に惚れている雪男は呆気なく手にしていた箒を手放すと、ほいほいと銀に連れられて新しい屋敷に戻った。
若葉を失ってから1度も戻っていない屋敷は埃っぽく、荒れている。
箪笥の引き出しは開いたままで、夜逃げ同然で若葉が逃げ出した時と同じ状態で、ようやく笑い話にできるようになった銀は肩を竦めて鼻を鳴らした。
「こんな状態では若葉をここには戻せない。埃を吸い込んで病が悪化することだけは避けたい」
「…あと10年だってな。可哀そうに…。よし俺も手伝うぞ、井戸の水も汚れてるだろうから綺麗にしておいてやる」
「ああ助かる」
雪男と2人で掃除をしていると、本来なら小さな埃など気にも留めない銀は、水で濡らした手拭いで入念にそれを拭き取りながら、小さく笑った。
ここで10年…一緒に生きてゆく場所だ。
もしくはもっと空気の良い所で過ごした方がいいのであれば、引っ越しも辞さないつもりでいる。
若葉と幸せに生きれるのであれば、どんなことでもやってみせる。
「銀さん、手伝いに来たよ。あ、雪ちゃんが居る!雪ちゃんも手伝ってくれてるんだね、ありがとう」
「息吹!まあな、俺も何か手伝いたかったし。じゃあお前は庭の落ち葉を集めてくれよ」
にこにこしている息吹の肩に何気なく触れながら笑いかけた雪男は、もうずっと長い間報われない恋心を息吹に抱いている。
主さまに適うわけがないのでかなり不毛な恋といえるが、本人は息吹の傍に居れるのならば、どんなことでもすると決めているらしい。
「お前はまた変わった男だな。息吹がいつかお前に心変わりするとでも思っているのか?」
「さあな、俺はただ息吹の傍に居たいだけだ。…触ると火傷するけど、それでも触りたいし。…今のは主さまに言うなよ」
雪男は息吹と出会ってさらに美しい男になった。
女の妖からの人気も絶大だが、本人は全くといっていいほど見向きもせず、子供たちの世話を手伝いながら日々を過ごしている。
「それぞれの想い方があるということか…」
銀は畳の埃を丁寧に拭いながら、想いを馳せた。

