若葉が目覚めたのは翌日の朝で、ずっと傍に居た銀は襖を開けて息吹を呼び寄せると、精のつく料理を沢山作ってもらった。
まだ無理をしてはいけない身体のために床から出れないまま半身起こしたままの若葉の隣に小さな机を用意してもらい、そこに並べられた料理を見た若葉はふるふると首を振った。
「こんなに食べれないよ」
「じゃあ俺と一緒に食おう。俺が食わせてやる」
「ぎんちゃん優しくて気持ち悪い。どうしたの?…沢山心配かけたから?」
「心配したとも。これを食った後は丙と離縁の話をする。つらいだろうが、お前にも同席してもらわなければ話が進まない。…いいか?」
若葉は、口を開けて卵焼きを食べさせてもらいながら頷いた。
捨てようとした命を助けたのが丙で、ここまで運んできてくれたのも丙だと聞いていたので、少し複雑な胸中になると、銀は若葉の手を握って力を込めた。
「お前と夫婦になるためには離縁は必要だ。人の理から外れてはいけない。だが離縁を取り付けた後は、お前は再び俺と…そして妖たちと共に生きてゆく。そう選択したな?」
「うん。私はぎんちゃんと夫婦になりたい。ぎんちゃんが同じ気持ちでいてくれたのがとても嬉しい。お姉ちゃんみたいに赤ちゃん沢山生んで、ぎんちゃんみたいなふわふわの尻尾と耳がある赤ちゃんが欲しいな」
「さあ、どちらに似るのか生まれてみなければわからないな。だが…俺がお前を抱く時は、丙と俺を比べるなよ」
…丙に抱かれていないことをまだ言っていない若葉は曖昧な返事をして口を開けると、銀にまた食べさせてもらいながら雪の降り積もる庭を見つめた。
そうしていると息吹が熱いお茶を運んで来てくれたので、全開の笑顔の息吹を見てなんだかほっとした若葉は、息吹に両腕を伸ばした。
息吹は膝を折って若葉を抱きしめてやると、以前より細くて頼りなくなった肩に顔を埋めて少し鼻をぐずぐずと鳴らした。
「良かったね若葉…。助かって本当に良かった…。それに銀さんと夫婦になれるなんて、本当に良かった…。浮気されたらお姉ちゃんにすぐ言うんだよ、主さまに懲らしめてもらうから」
「浮気などしない。お前は余計なことを言って若葉を不安にさせるな」
逆に銀に怒られてしまった息吹がぺろっと舌を出して茶目っ気たっぷりに笑うと、今度は朔がひょっこり顔を出した。
無表情だった顔には笑みが上り、いずれ百鬼夜行を継ぐ朔が…幼馴染がとても心配してくれていたのがわかる。
若葉は朔にも手を伸ばし、部屋に招き入れた。
…ここで生きてゆこう、と決めた。
まだ無理をしてはいけない身体のために床から出れないまま半身起こしたままの若葉の隣に小さな机を用意してもらい、そこに並べられた料理を見た若葉はふるふると首を振った。
「こんなに食べれないよ」
「じゃあ俺と一緒に食おう。俺が食わせてやる」
「ぎんちゃん優しくて気持ち悪い。どうしたの?…沢山心配かけたから?」
「心配したとも。これを食った後は丙と離縁の話をする。つらいだろうが、お前にも同席してもらわなければ話が進まない。…いいか?」
若葉は、口を開けて卵焼きを食べさせてもらいながら頷いた。
捨てようとした命を助けたのが丙で、ここまで運んできてくれたのも丙だと聞いていたので、少し複雑な胸中になると、銀は若葉の手を握って力を込めた。
「お前と夫婦になるためには離縁は必要だ。人の理から外れてはいけない。だが離縁を取り付けた後は、お前は再び俺と…そして妖たちと共に生きてゆく。そう選択したな?」
「うん。私はぎんちゃんと夫婦になりたい。ぎんちゃんが同じ気持ちでいてくれたのがとても嬉しい。お姉ちゃんみたいに赤ちゃん沢山生んで、ぎんちゃんみたいなふわふわの尻尾と耳がある赤ちゃんが欲しいな」
「さあ、どちらに似るのか生まれてみなければわからないな。だが…俺がお前を抱く時は、丙と俺を比べるなよ」
…丙に抱かれていないことをまだ言っていない若葉は曖昧な返事をして口を開けると、銀にまた食べさせてもらいながら雪の降り積もる庭を見つめた。
そうしていると息吹が熱いお茶を運んで来てくれたので、全開の笑顔の息吹を見てなんだかほっとした若葉は、息吹に両腕を伸ばした。
息吹は膝を折って若葉を抱きしめてやると、以前より細くて頼りなくなった肩に顔を埋めて少し鼻をぐずぐずと鳴らした。
「良かったね若葉…。助かって本当に良かった…。それに銀さんと夫婦になれるなんて、本当に良かった…。浮気されたらお姉ちゃんにすぐ言うんだよ、主さまに懲らしめてもらうから」
「浮気などしない。お前は余計なことを言って若葉を不安にさせるな」
逆に銀に怒られてしまった息吹がぺろっと舌を出して茶目っ気たっぷりに笑うと、今度は朔がひょっこり顔を出した。
無表情だった顔には笑みが上り、いずれ百鬼夜行を継ぐ朔が…幼馴染がとても心配してくれていたのがわかる。
若葉は朔にも手を伸ばし、部屋に招き入れた。
…ここで生きてゆこう、と決めた。

