「はい」
隼人がお線香を渡してくれて、あたしはユキの前に立つ。
目を閉じると、いつもと変わらない笑顔のユキがいる。
…あの日から、もう1年が経つんだね。
しばらく来れなくてごめんね。
今日は報告があって来たんだ。
……あたし、医学部に合格したよ。
1年間勉強ばっかしてたし、ユキがいない寂しさに泣くこともあった。
でも…あの日ユキが守ってくれたこの命を、今度は誰かのために役に立てたいと思ったの。
そして、今日は卒業式。
やっと夢への一歩を踏み出せたのかな。
ユキなら、応援してくれるよね?
それと……
あたしは隼人の方を向いた。