ジューンブライド・パンチ

「おなつぅ~苦労させたくねぇんだよ~先に死ぬなよお~」

「わかったってば」

「結婚してください!」

「何回言うの……」

 カズミの叫びを聞きながら、宿泊先に戻った。

 結婚式が終わってから思い出したけれど、準備段階で、某結婚情報誌を買ったりするのが夢だったような気がする。でも、買わないまま全部終了してしまった。

 照れながら、ふたりで書店に行き、雑誌を購入する。お前が買えよ、いやだよあなたが買ってよ。みたいな。ちょっと憧れていたよ。でも、夢と現実は違うね。

 わたし達のドタバタした1日は、こうして終わった。


 後日、カズミが言っていた。

「楽しかったんだよね……」

 飲み過ぎてしまったことを、後悔していた。友人達がお祝いに駆けつけてくれたんだもん、ああなるなってほうが無理だったかもね。でも、良かったね。

 どちらが先に死ぬかなんて、誰もわからないから。そんなことは。だから、ずっと一緒に居られたらいいね。

 おなつが先に死んだら、俺も死ぬしか無いって言っているけれど、そんなこと言わずに、長生きしてください。というか、結婚したばかりなのに死ぬ話なんかしないでよ。

 誰がバカにしたって、あなたの良いところはわたしがわかっていればいいじゃない。

 地球上の、たくさんの人間の中から、わたしを選んでくれてありがとう。
 一緒に居てくれてありがとう。わたしと結婚したいって言ってくれてありがとう。

 これから先、色々あると思うけど、力を合わせて支えあっていきましょう。

 カズミと結婚して良かったとか、あなたがわたしと結婚して良かったとか、死ぬときにしかわからないかもしれないけど。

 それでも、良いよね。

 死がふたりを分かつまで。分けても、ね。

 夜中にふと目覚めて、寝息が聞こえることの幸せはなににも変えられないもの。

 酔って酒臭いけれど、ゲロを受け止めてしまったけれど、天然だけれど。


 わたしの手を握りしめて、涙と鼻水垂らして寝ている。このひと。

 一緒に歩んで行こうと思う。手を取り合って。


 指輪の裏には、わたし達の名前と「2012.06.24」の刻印。

 指輪が光る力強い左手で、握りしめている。彼がはめた指輪がしっとり輝く、わたしの左手。




          Just Married 2012.06.24