君はボクの天使?

派手な色使いの大きな、
いつか見たことのあるそれは

あの日の
クマの着ぐるみだった

リクちゃんだ!!

クマは私目掛けて走ってくる
途中、転びそうになったり
ファンの子にぶつかって
謝ったりしながら

私の目の前に、
やってきた

「はぁ、はぁ、つぐみちゃん・・・」

息をきらして・・・

「リクちゃん・・・!!」

私は

泣きながらクマの着ぐるみに抱きついた

「会いたかったよぉ」

クマも私をギュッと抱き締めた
あったかくて
余計、涙が出た

「俺もだよぉ」

「ごめんね、いっぱい傷つけて、もうわがまま言わないから、もうどこにも行かないから、リクちゃんと一緒に居たい!」

泣きながら、私は必死で訴えた
もうここには
素直な自分しかいなかった

くぐもった声で、クマも言った

「じゃあもう、絶対離さないからね。いいの?」

「うん・・・私も絶対離れないよ」

私達は、すごい視線を浴びながら
でも誰にもバレる事なく
無事、再会を果たした

そして
永遠を、誓った

噴水の水が光とともに
勢いよく沸き上がる
祝福するみたいに

人の気持ちを知らない私は
リクちゃんと出会って
新しい自分と出会えたんだよ

私の心の欠けていたところを
リクちゃんが始めて
埋めてくれたんだよ


これからは本当の
リクちゃんの天使になるからね


私は心の中で
もうひとつの、誓いを立てた




           〈the end〉