秘密な関係

「これ、電池切れじゃなくて故障してるそうです。修理するなら預かりますけど」

安達くん、最後まで言おうよ

いくら同期でも私、お客じゃん

いかがいたしましょうかってちゃんと言おうよ

例え、棒読みでもさ

と本人に言えるワケもなく

「そっかぁ。この前落としたからかなぁ。就職祝いにおばあちゃんから貰ったものだから修理して欲しいな」

「じゃ、こちらに」

と修理申し込み書とボールペンを出される

名前書けってか?

安達くん、本当に普段からこんな接客なの?

だとしたらスゴいよ

私が一通り記入して用紙を渡すと

用紙の隅の枠内と備考欄を安達くんが記入していく

スーツの袖口のボタンが当たって書きにくいのか

安達くんはスッと袖口を引っ張ってからまた記入し始めた