嘘ではない

彼のお陰で閉店ギリギリに何とか目標売り上げを達成できた

「元気そうね、安達くん」

「ああ」

空元気だけどな

とは言えないな

「荒川こそ良かったな」

「何が?」

俺は荒川の耳元に近づくと小声で

「彼に手首を見せてもらった。良かったじゃないか、噛む相手が見つかって」

「な、何言うのよっ」

あっという間に荒川の顔が真っ赤になった

「あのぉ~俺はどうしたらいいのかな?」

通用口前のガードレールにずっと腰をかけていた男が言った

「あっ、申し訳ない。俺と荒川…さんはただの同期で何の関係もないんで心配しないでください。すいませんでした」

「「関係ないの?」」

男と荒川が同時に言う

「いや、何て言えばいいのか…とにかく、お二人の恋路を邪魔する気はありませんので。本当にこれで失礼します」

って行こうとすると