今一つ、何をきっかけに変わったのか解らない

ただ、さっきまでの嘘っぱちの笑顔とは違って

明らかに荒川は高揚していた

顔は少し赤らんで、目はうっすら潤んでいる

口は半開きでボーッとこっちを見る荒川を見たとき

俺の体に電流が走ったような気がした

と同時に荒川にはきっと何かあるって思った

それが何かなのは全く見当つかないけど

荒川を一瞬でこんなにも高揚させる何かを俺は持っている

漠然とそう思った

そして、その何かを荒川は人には言えない秘密にしているんじゃないかって思った

俺の勘だけど

この時から俺はそんな荒川に興味を持つようになった

だから同期会にも参加した

その日はオフだったのにワザワザ出てきた

どうしても荒川と接触したいと思ったから

その思いは予想外の形で叶った

荒川が俺の手首に噛みついたからだ