荒川を初めて見たのは入社式だった

単に綺麗な子だなってくらいの印象だった

基本的に研修以外で同期が同じフロアで働く事はないから

そんなに顔を合わすこともない

ただ、バックヤードなんかで会うと挨拶をしてくるので俺も返す

その時にいつも思ってたのが

ずいぶん、作り笑顔の上手いやつだなと思っていた

俺はあまり人と集う事が苦手だから同期会とか一度も行った事がなかった

けれど、同じく同期の田中がたまには参加しろとしつこく言うので参加しようかどうしようか迷っていた

その時に、荒川が俺の売り場にやってきた

八階時計宝飾品売り場

相変わらず、嘘っぱちの笑顔を撒き散らしながら荒川はやってきた

その顔見てたら、何となく同期会やっぱ止めようって思った

面倒くさそうだし、こういうの相手に仕事以外で話すなんて

だけど、ある瞬間から俺の気持ちは変わった

それは途中から荒川の様子が完全に変わったから