仕方なく近くにいた人に修理申し込み書の控えを渡すと、お客様の邪魔にならないよう売り場の隅で腕時計を待つ

何となく接客中の安達くんに目がいってしまう

違う

安達くんの手首に目がいってしまう

ん?

見ていると、安達くんが袖口を少し引き上げお客様に見せた

な、な、何プレイ?

お客様は見たところ二十代後半くらいの女性だった

彼女はあろうことか私にとって、もはや神の領域である安達くんの手首を握ったではないかっ!

待て待て待てーい!

お嬢さんそいつはアタシが狙った獲物だよ

悪いけど手を引いてもらうよ

なんて事、死んでも言えるワケもなく

ただただ、奥歯を噛み締めながらその光景を見るしかなかった

結局、何となくの雰囲気から解ったんだけど、その女性は彼へのプレゼントを買いに来たらしく

安達くんの手首でサイズを確認していたらしい

紛らわしいっ