「めーたんっ」



ぐい、と人の頬に缶を押し付けてくるりり。


酔って理性を失ったりりの力は加減を忘れて少しばかり強い。

地味に痛かったので、その手を引っ掴んで離す。



「いいかげんにしなさいよ、りり。あんた飲みすぎ」


「全ぜぇん飲んでなぃしー」


「そうですよ、たったの缶ビール四本ですよ」


「いや、それわりと飲んでる」



ていうか未成年が判断下すな。



「没収」



強引に缶をむしり取って遠くに置くと、「あーーーっ」とりりが大声をあげて喚く。




「かーえーしぃーてーよーりりーのぉ~」


「あーうるさいっ今日以外であれば勝手に飲んでいいから、今日はもうだめ。ていうか、出ていく前には飲み干してよ。私ビール飲まないから」


「じゃあ、今のみゅー」


「ダメ」



酔っ払いと素面女のにらみ合いは、長い。




その戦いを、楽しそうに光輝少年はつまみを口に運びながら眺めている。


観客気取るな。