私は悠希の言葉を悠希の腕の中で「うん、うん」と頷いた。


「じゃ、帰るよ。今日はサンキュ」

由衣さんの手紙をポケットに入れた。


私とゴン太は外まで見送りに出た。


クゥーン


甘えるように鳴いたゴン太を悠希は撫でた。


「朋花」

「ん?」

「俺、前を向くよ」


そう言って、帰って行った。

悠希はやっと前に歩けるようになったようだ。


私のことを見てくれますように…。

そっと祈った。