出会いは春。 あたしが大学を卒業した頃。 貴亮と出会ったんだ。 駅のホームで電車を待ってるときだった。 『あの、落としましたよ』 『え?』 『定期、落としましたよ』 そう言って差し出されたあたしのパスケース。 このパスケースを拾ってくれたのが貴亮だった。 それからも駅で会うことがあり話をする機会も増えていった。