「………ねぇ」 女の子は苦しげに俯いた。 「………でよ」 途切れ途切れの言葉は聞こえない。 「あたしから…取らないでよ」 今度こそ聞き取れた言葉は懇願だった。 「取らないで」 何を? 言葉にできない。 喉がヒューヒューと音を立てて収縮するだけで、言葉が出ない。 「………お願いだから」 俯いたままシフォンワンピースの裾を掴んで、苦しげな声は訴える。 「………好きなの」 あの人のことが、 アキラメキレナイノ