「なんでさ、けち」 唇を尖らせて貴亮を見れば、ヒョイッと子猫を取り上げられた。 「あっ!?」 「おいで~」 貴亮の手の中にいる子猫は自ら顔を擦り寄せた。 「………けち」 拗ねたあたしを見かねた貴亮は子猫を抱えたままあたしの横に座った。 「……好きだよ」 ぼそりと貴亮はあたしに囁いた。 その囁きは、ゆっくりと浸透していって 良く分からなかった感情が走り抜けた。