気を取り直して黒板の方を見ると、はるごんが不服そうに“原田”の文字を消した。

原田くん、負けちゃったんだ。


「あー俺じゃんけん弱ぇー」

「ど、どんまい?」

「まさか江原まで保健委員に立候補するとか…超予定外だし」


悔しー、って何回も言う原田くんに、ちょっとだけ苦笑い。

なんかわたしだけすんなり決まっちゃって申し訳ないし。


「えー、んじゃ体育委員男子は、原田くんに決定でいいですかー?」

「え!?ちょ、待って待って!何で俺!?」

「原田くんが心と喋ってる間にもう皆希望した委員会に入っちゃったんだもん」

「え…あ、まじか…」


明らかにがっくり項垂れる原田くん。


「あの…な、なんかごめんね……」

「や、野口さんが謝る事じゃないでしょ?」

「でも…」


そんなにヘコんでる原田くんを目の当たりにして、謝るなって方が無理だよー。


「何?うちと体育委員やるのがそんなに嫌?」

「え、や、そーじゃなくて…」

「じゃあいいじゃん☆決定!」


無理矢理雛子に言いくるめられた原田くんは、結局体育委員に。

なんかすっごい可哀想だけど…頑張れ、原田くん!