すると雅輝の後ろからぞろぞろとたくさん人が出てきた。
「……なんでみんないんの」
まだ授業中じゃ…と思いながらもこいつらは授業を真面目に受けるタイプでもないな、と思い直した。
「か、楓が……いいいいい今、あーんした…」
“い”が多すぎだろ、と思ったけどあえてつっこまないことにした。
「拓巳なんだよ、あーんって」
「世間で言う恋人同士がするあーんだろ」
ブスッとした顔でそう言った蘭。
「……あたしと唯が恋人?」
思わず唯と顔を見合わせた。
「えー?楓隠さなくていいよぉ?だって楓とその男はカレカノなんでしょぉ?」
「は?」
「…楓さっきそいつに好きって言われて“あたしも好きだよ”って言ってた。ほんとなの?」
泣きそうな顔でそんなことを言う祥を見て、一瞬言葉に詰まった。
っていうかあたし、唯に好きだって言ったっけ?
…………あ、あれか。
「…確かに言ったけど…」
「でも楓ちゃん、つい最近まで彼氏はいらないって言ってましたよね?あれは嘘だったんですか?」

