「……俺、楓の兄貴と弟見てみてぇ」
そこにすかさず反応したのはあたしではなく担任。
………なぜ。
「唯知らねぇの?こいつの弟は中学生だからあんま見ねぇけど、兄貴はこの学校だし有名人だぞ?」
「千春って有名人なの?」
千春が有名人とか初耳。
まあ確かにかっこいいし優しいしでモテ要素かなりあるけどさ。
兄妹でなにこの差。
あたしはモテた記憶全くないんですけど!
「………はぁ…お前自分の兄貴だろーが。知っとけよ」
「や、あたし噂とかそんなの分からないんで。友達も雅輝と隆斗だけだし」
担任は少しきょとんとしたもののすぐにケラケラ笑いだした。
「とも…っ、友達2人だけとか…っ!悲しすぎだろ」
「……しょうがないじゃん。怖がられてるんだからさ」
担任はしまった!と言う感じで口を押さえ、バツの悪そうな顔をした。
「あ、あー…ま、まあ世界は広いぞ」
噛みながら意味不明なことを言い出した担任。
「……確かに世界は広いですけど…」
あたしからしたらそれがなに?って感じ。
あたしたちの会話についてこれず、きょとんとしている唯。
「えー、と…?」

