『お世話になりました!』




声が戻った翌日に、無事退院になった花梨。




今日だけはと、頼み込んで学校を休ませてもらった。




着替えとか、結構大荷物になるし、働いてるおじさんに会社を休ませるよりはましと思ったのか、父さんも母さんも賛成してくれた。




そして、母さんの運転する車で、家までたどり着く。




「後で、花梨の部屋に行ってもいい?」




『え?うん。

いつも勝手に来るのに珍しいね。』




そういった後にすぐに、表情が曇る。




「花梨、まずお風呂にゆっくり浸かりたいって言ってたから、あがって俺がいたら、驚くかと思ってさ。」




そう言うと、そっか、って少し安心したように笑った。




あんなに天然だったはずの花梨なのに、最近はやたらと勘が鋭くて、ドキッとしてしまう。




俺が、花梨を気遣って言った言葉に、花梨は敏感に反応するようになった。