『有坂、花梨今日薄いピンクの服着てた?』





岡村に尋ねられて頷く。





「もしかしてここの前通った?…どこに向かったか方向だけでも覚えてない?」




一気に捲し立てる俺に少し後ずさりしながら岡村は、




『人違いだと思うけど…似てる子を見たの。…でもやっぱり花梨じゃないと思うな…』





「人違いでも構わないから言ってっ!!」





どうしてか岡村が見たのは人違いではなくて、花梨本人の気がするんだ。





『車の助手席に座っててね?泣いてるようだったの。信号待ちしてる間にちらっとだけ見ただけだったから…

やっぱりよく似た人だと思うな。運転してた人、花梨のお父さんとはほど遠いくらい若い男の人だったし…きゃっ…!?』





立ち上がり岡村の肩をつかんで問いかけた。





「どんな男だった?少しでも何か特徴なかった?」