コートから少し離れた場所にあるトイレの入り口の脇に佇む人がいた。




「あ…」




そこには一人で泣いている京香ちゃんの姿があった。



『…ひっく…』




テニスウェアの袖で涙を拭く姿。




エースって言ってたから、負けて悔しいのかな…。




そっと近寄り、持っていたハンカチを差し出した。




『!?…あなた…』




「あの…服汚れちゃうよ?コレ使って?」




『…いいっ!放っといてっ…』




私の横を通りすぎようとした時、肩がぶつかった。




「きゃあ!?」




思わずよろけた瞬間…




ズキン…




足に痛みが走る…




思わず痛くて足を押さえてしゃがみ混んでしまった。