「あのなあ、大人の男ってのは、状況判断ができるもんだぞ。
自分だけで移動できないとなれば、きちんと他の人の手を借りる。
恥ずかしいとか、みっともないとか、そういうのはワガママなんだ」
「…………」
少年はむう、と唇を引き結んだ。
どうにも納得がいかないらしい。
さて、どうしたもんかねー。
さっきより頑なじゃないか。
「うーん……、いずれさあ、イノリはあたしよりおっきくなるよ。ひょいっとおんぶできるくらいにさ。
そのとき、あたしが怪我とかして困ってたらおんぶしてよ。
今回のことは、貸しってことで、いつか絶対に返して?
それで、今回は納得してくれないかな」
こんな提案じゃ受け入れないかなー、と半ば諦めながら言った。
しかし、イノリの瞳がキラリと光った。
「ぼく、ミャオよりおっきくなる?」
「当たり前だろ。だからさ、そのときははイノリがあたしをおんぶしてよ。いや?」
「ううん、いやじゃないよ」
「そか。じゃあ、よろしく」
ふう、ようやく機嫌が直ったか。
「しかし、イノリ」
「なに?」
「おまえ、『おれ』って言うんじゃなかったのか。いつの間にか『ぼく』に戻ってるけど」
「……っ!」
不覚! というように、少年は顔をしかめた。
悔しそうに唇を噛む。
新しい自称が定着するまでには、もう少し時間がかかりそうだ、その様子にくすりと笑った。
「ミャオ、いつから気がついてたのさ?」
「え? ええと、ついさっき、かな?」
すっとぼけて答える。
疑わしそうにあたしを窺っていたイノリだが、問い詰めても仕方ないと思ったらしい。
ため息を一つついて、
「これからは気がついたらすぐに教えてね! おれも気をつけるけど!」
と言った。
「はいはい。気をつけます」
「うん。そうして!」
「じゃあ、とりあえず行きましょうか。ほら、乗りな」
改めてイノリに背中を向けると、今度は素直に背中に体を預けてくれた。
細い腕が首に巻きつく。
「よし、帰ろうか。あ、懐中電灯はイノリが持ってくれないか?」
「うん。ミャオの足元に向けたらいいんだよね」
懐中電灯を手渡してから、よいしょ、と立ち上がる。
お、意外に重みがあるんだな。
少し体が傾いだが、どうにか体勢を整えた。
自分だけで移動できないとなれば、きちんと他の人の手を借りる。
恥ずかしいとか、みっともないとか、そういうのはワガママなんだ」
「…………」
少年はむう、と唇を引き結んだ。
どうにも納得がいかないらしい。
さて、どうしたもんかねー。
さっきより頑なじゃないか。
「うーん……、いずれさあ、イノリはあたしよりおっきくなるよ。ひょいっとおんぶできるくらいにさ。
そのとき、あたしが怪我とかして困ってたらおんぶしてよ。
今回のことは、貸しってことで、いつか絶対に返して?
それで、今回は納得してくれないかな」
こんな提案じゃ受け入れないかなー、と半ば諦めながら言った。
しかし、イノリの瞳がキラリと光った。
「ぼく、ミャオよりおっきくなる?」
「当たり前だろ。だからさ、そのときははイノリがあたしをおんぶしてよ。いや?」
「ううん、いやじゃないよ」
「そか。じゃあ、よろしく」
ふう、ようやく機嫌が直ったか。
「しかし、イノリ」
「なに?」
「おまえ、『おれ』って言うんじゃなかったのか。いつの間にか『ぼく』に戻ってるけど」
「……っ!」
不覚! というように、少年は顔をしかめた。
悔しそうに唇を噛む。
新しい自称が定着するまでには、もう少し時間がかかりそうだ、その様子にくすりと笑った。
「ミャオ、いつから気がついてたのさ?」
「え? ええと、ついさっき、かな?」
すっとぼけて答える。
疑わしそうにあたしを窺っていたイノリだが、問い詰めても仕方ないと思ったらしい。
ため息を一つついて、
「これからは気がついたらすぐに教えてね! おれも気をつけるけど!」
と言った。
「はいはい。気をつけます」
「うん。そうして!」
「じゃあ、とりあえず行きましょうか。ほら、乗りな」
改めてイノリに背中を向けると、今度は素直に背中に体を預けてくれた。
細い腕が首に巻きつく。
「よし、帰ろうか。あ、懐中電灯はイノリが持ってくれないか?」
「うん。ミャオの足元に向けたらいいんだよね」
懐中電灯を手渡してから、よいしょ、と立ち上がる。
お、意外に重みがあるんだな。
少し体が傾いだが、どうにか体勢を整えた。



