「え?
 な、なに……?」

 紫音の言葉に、聞き返すと。

 紫音は、にこっと微笑んだ。

「結婚は、すぐに出来なくても。
 春陽と長い間会えないわけじゃない。
 あまり寂しい思いもさせるつもりもない。

 ……知ってるか?
 春陽さえ望めば。
 オレは、毎週だって、日本に帰って来るコトが出来るんだぜ?」

 ……オレは相当、リッチだから、と。

 片目をつむった紫音を見て、思い出した。

 そうだった。

 このヒトは。

 やろうとすれば、演劇を観るのに、劇場を丸々貸し切りにできるほどのお金持ちだったっけ。

 紫音にとっては、飛行機の料金だって、バス代と変わらない。




 ……生きてさえいれば。





 世界のどこにいたって、すぐ会える………!