「それにしても、僕、ちっとも知らなかったよ」
結局、あっという間に、お弁当を食べ終わり。
満足そうに手についたソースを舐めて、あきらクンが言った。
「紫音ってさ。
本当は、すげー器用だったんだな。
僕は、ぼんやりしていてどんくさい村崎のイメージしかなかったけど……本当は、こんなに違ったんだ」
あきらクンは、少し、真剣な顔をした。
「その服だって、今日初めて着た、って感じじゃない。
多分、こっちの方が普段着なんじゃないか?
なんで、紫音は、学校では、デキないヤツを演じてるんだよ?」
「……別に。
演技をしている訳じゃない」
紫音は、すっかり中身のなくなった、お弁当の箱を片付けながら、言った。
「ただ。
ちゃんとやっている宮下には、悪いが。
オレにとって『教師』は、あまり、魅力的な仕事じゃないだけだ」
「ふうん?
だから、あんまり力が入らないって?
わがままなヤツだな。
他になりたい職業があったのか?」
「……そうだな。
料理人にはなりたかったかな?
出来れば、パテシェみたいに。
甘い菓子を作りたかったな……海外に留学したりして」
紫音が、一瞬遠い目をした。
結局、あっという間に、お弁当を食べ終わり。
満足そうに手についたソースを舐めて、あきらクンが言った。
「紫音ってさ。
本当は、すげー器用だったんだな。
僕は、ぼんやりしていてどんくさい村崎のイメージしかなかったけど……本当は、こんなに違ったんだ」
あきらクンは、少し、真剣な顔をした。
「その服だって、今日初めて着た、って感じじゃない。
多分、こっちの方が普段着なんじゃないか?
なんで、紫音は、学校では、デキないヤツを演じてるんだよ?」
「……別に。
演技をしている訳じゃない」
紫音は、すっかり中身のなくなった、お弁当の箱を片付けながら、言った。
「ただ。
ちゃんとやっている宮下には、悪いが。
オレにとって『教師』は、あまり、魅力的な仕事じゃないだけだ」
「ふうん?
だから、あんまり力が入らないって?
わがままなヤツだな。
他になりたい職業があったのか?」
「……そうだな。
料理人にはなりたかったかな?
出来れば、パテシェみたいに。
甘い菓子を作りたかったな……海外に留学したりして」
紫音が、一瞬遠い目をした。



