彼は人魚姫!



「ママ…?」


「えっ?…あぁ、しぃ。わぁ、びっくりしたぁ。えーっと。探してたのよ。どこ行ってたのよ。み、店、閉めて」


我ながら白々しい、この感じ。
さすがのしぃも、ちょっと渋い顔してる。
何とか店の前まで移動して来たもののどうしていいか分からず、窓のカーテンの隙間から中を伺う振りをしていた。
あのコとは…、どうなったんだろ?
エロいしぃの事だから、最後にギュッと抱きしめた…とか?
で、感触を確かめて。
って!あたし、何て妄想してるんだ?
ダメだ。ダメだ。
女の子がこんな事、考えちゃ。


「僕の事、探してくれてたの?」


しぃの大きな丸い目いっぱいにあたしの姿が映ると、両手を広げて包み込んで来た。
なんて優しく抱きしめる人なんだろう。
『愛されている』って、ふと思ってしまう。
拾って…いや、出会ってまだそんなに時間が経ってないのに。
そんな訳ないって。
積極的過ぎるのもからかわれているようで、信じられないところもある。
男の人にグイグイ来られたことないから。
でも…。
一度、信じてみてもいいのかな。