彼は人魚姫!


「お友達からでいいので…。付き合って下さい!お願いします!」


わっ。これって。
コ・ク・ハ・ク…だよ。
マジ?
思わず一歩、後ろに下がってしまった。
ほんとに…。人の店の裏で何やってんだか。
悪いかな?って思いつつも、ちょっと覗いてみたくなる。
人間のごくごく普通な心理。
声だけじゃ、つまんない。
細心の注意を払って、ゆっくり進む。
ほんの1メートルほどの距離をこんなにドキドキして歩いたのは、おそらく生まれて初めてだろう。


建物の角からそっと顔を出す。


『しぃ!』
心の中で大きな声が出た。
実際には口が『あっ!』と大きく開いたまま動けなかった。
あたしの目の前には、しぃと、よく店に来てくれている女性のお客さま。
二十歳くらいで細身。背は160センチメートルくらい。
明るい茶色の巻き髪、目はパッチリで今流行りのアヒル口。
いつもスカートで、ピンク系の可愛らしいファッションが多い。
どっから見ても『カワイイ』
瞬間的にあたしは自分とそのコを比べた。
外見では勝てる要素はひとつもナイ。