~ざわつくココロ~
「えっ?」
足早に戻って行った薫の背中をしばらく呆然と見送って、あたしも店へと急いだ。
しぃ一人ではもう限界のはず。
食器も溜まってるだろうし、何よりたった一人であの減る事を知らない百人ほどの行列をこなせる訳がない。
坂を上るにつれ、歩くスピードが早くなった。
が、が、だよ。
見えて来るはずの行列が見えない。
正確には見えないんじゃなくて、『ナイ』
何で?どうしたっていうの?
焦ったあたしは一気に坂をかけ上がった。
「閉めてる…。どういう事?…しぃ?」
あいつはどこに行ったんだ?
真っ昼間に店を閉めて、何を考えてるの?
忙し過ぎて、とうとう逃げ出した?
なら、あたしのせいだ。
いやいや、しぃは逃げ出すようなやつじゃない。
店には鍵がかかって入れないし、家も中から鍵をかけたままだから入れない。
仕方ない。とりあえず店の周りを探してみるか。
キョロキョロしながら裏に回ったところで人の話し声が聞こえて来た。

