彼は人魚姫!

「ちょ…、ちょっと。そんな決めないでよ。あたしはまだ…。ほんと困る…」


「何が?」


睨まないで…下さい。
ほんと、心の中でしか反論出来ないくらい、その睨みが怖い。
そりゃ、優柔不断は否めないんだけど。
だからってこんな、お付き合いを強引に決められたら困る。
しぃはどうなる?
それに…、ちょこっとだけだけど、あのオーナーにももう一度会いたい気持ちがある。
それがどういう気持ちなのかは分からないけど。
気になってるのは確か。
あぁ…もう。こんな気持ちで薫と結婚前提で付き合っていいのか?


「薫は何ともないの?あたしは…、あたしの気持ちは分かんないんだよ。嫌じゃないの?不安じゃないの?」


「なら、その不安、取り除いてくれ」


そう言うとあたしをギュッと抱きしめて、優しくキスをした。
柔らかいくちびるが斜めに重なる。
心臓が一回、爆発した。


「いいな、今日から、今から、雫はオレのオンナだ。異議申し立ては認めねぇからな。以上!仕事に戻る!」


異議申し立てって…。
言うだけ言って…、やるだけやって。
でも、抵抗しなかったんだよね。あたし…。